2020.10.28
愛沢絢夏 ワンマン
誕生日当日となる10月25日(日)、愛沢絢夏は吉祥寺SHUFFLEを舞台にワンマン公演を行なっていた。この日は、前日に開いた主催イベント「AIZAWA AYAKA birthday event~NEO CHAPTER returns~」の追加公演として行なわれた。
現在、各ライブハウスには、箱の規模に合わせた入場人数の制限枠がある。前日のイベントでは参加希望者が制限枠を上回り、主催者側の判断により、抽選で選ばれた人のみ会場に入れる形で進められた(そこをフォローするために有料配信も実施)。でも、愛沢絢夏自身の「なるべく多く、観たいと思っている人たちにライブを観て欲しい」想いを形にしようと、急遽、追加公演という形で今回の場所を押さえた経緯がある。結果、ライブの開始時間が午前10時にも関わらず、(制限された人数とはいえ)満員の観客がこの日も会場を埋めていた。それだけ、今の愛沢絢夏に期待を寄せている人たちが大勢いるという証だ。
SEに合わせ、フロア中から鳴り響きだす熱い手拍子。その音へ導かれるようにメンバーらが。そして、愛沢絢夏が舞台に姿を現した。
記念すべき誕生日の、何より、コロナ禍後初となるワンマン公演の幕は、未来を指し示すように「in the future」から始まった。高く突き上げた愛沢絢夏の拳へ想いを重ね合わせるように、フロア中から無数の拳が突き上がる。重厚な演奏を背に受け、言葉のひと言ひと言を噛みしめるように歌声を届ける愛沢絢夏。この場所から未来を描きだす、彼女自身が常に心へ抱いている意志を愛沢絢夏は冒頭から示しだす。舞台上で突き上げる拳へ、無数の拳が伸びてゆく。ただ声を上げられないだけで、密接出来ないだけで、何時もの熱いライブの景色が、この場所に生まれていた。
勢いを増幅するように、愛沢絢夏は「INSPIRE」を突きつけた。みずからの胸を力強く叩きながら声を上げる愛沢絢夏。その姿へ、数多くの拳のエールが突きつけられる。モニターに足を乗せ、身体を前のめりに彼女は歌う。少しでも近くで、この想いを響かせたい。愛沢絢夏の熱意はステージングにそのまま投影されていた。ステージから観客たちがいるフロアまでの距離さえ、その熱意が一気に縮めてゆく。
ワンマンライブは、じつに2年ぶり。それが出来る幸せを噛みしめるように、愛沢絢夏が届けたのが「当たり前の幸せ」。優しい音の風が身体を心地好く通り抜ける。愛沢絢夏も、歌詞に記した小さな幸せを噛みしめながら、その想いを心の奥へと呑み込んでゆく。フロア中の人たちも、温かい愛沢絢夏の歌声を、全身でしっかりと受け止めていた。サビでは、掲げた右手を大きく振る人の姿も。感じ方も、楽しみ方も自由だ。彼女が舞台の上から届けた気持ちに心が揺れたなら、感じたままを身体で示せばいい。とても心地好い時間だ。演奏は後半へ進むにつれ圧と速度を上げてゆく。愛沢絢夏自身の歌声にも、熱が加わってゆくのが伝わってきた。ハンドマイクを両手で握りしめ歌う姿に向け、何時しかフロアから数多くの拳が伸びていた。
「さぁ、ここからアゲていくぞ!!」。荒ぶる演奏を突きつける「HARUKAZE」に合わせ、フロア中からも数多くの拳が突き上がれば、その場で飛び跳ね騒ぎだす人たちも。サビでは、愛沢絢夏の振りまわすタオルの動きに合わせ、フロア中でもタオルや拳がブンブン振り回されていた。ここから熱い風を巻き起こすようにと愛沢絢夏も力強く熱唱。感情を剥き出しに歌う気迫に触発され、フロア中の人たちも、その場で身体中から思いきり熱を放ち続けていた。互いに拳を突き上げ、想いと想いをぶつけあう。ここには,何時ものライブの風景が生まれていた。
さぁ,拳を突き上げ「go for it」に合わせ叫ぶんだ。気持ちが昂ったなら、その気持ちが動くままに行動すればいい。愛沢絢夏が左右に身体を揺らすたび、フロア中の人たちもその場で大きく身体を揺らしていた。彼女は歌う、ここから一緒に一歩踏み出そうと。その行動が明日の自分を輝かせるんだと。愛沢絢夏自身が、つねに壁や逆境を、仲間たちの強い支えによって乗り越え続けてきた。彼女の歌はどれも、仲間たちへ向けたメッセージであり、自身の心を奮い立たせるエールソング。みずからの気持ちを鼓舞するように拳を突き上げ、彼女は言葉を吐き出す。その歌が、触れた人の心も輝かせる強いエナジーになる。
「今年は目標としていたワンマンがなくなって悔しかった。でも、ずっと後ろを向いてても仕方がないので、わたしは前を向きました。コロナという状況の中、わたしが歌える歌を、みんなに届けられる曲を持ってきました。わたしからの最大のエールソングだと思います。この曲を目印に、みんな目標を見失わないでいて欲しいなと思います」
届けたのが、新曲の「Over Limit」」。心に限界なんて無いんだと示すように、愛沢絢夏は荒ぶる激しいビートを背に、滾る熱情を歌声に乗せ、「あきらめないで」と叫び続けていた。伸ばした手をフロアにいる仲間たちへ差し出しながら、愛沢絢夏は気持ちを奮い立たせる熱い言葉をぶつけていた。何時か笑ってくれる日が来ることを願いながら、想いが届くまで何度だって声と拳を突き出していた。もちろん、フロア中からも熱い拳が突き上がっていた。
「優しい人よー」と叫びながら楽曲は「優しい人よ」へ。「この声が枯れるまで ただ君に届けたい」と熱唱する愛沢絢夏。「どんなことがあっても進み続けるから、わたしを目印にみんなも進み進み続けてください」と、彼女は叫ぶ。縛られた気持ちを解き放つように響いた演奏が胸を騒がせる。「この声が枯れるまで この夜が開けるまで」と歌う声に触発され、フロア中の人たちが高く拳を突き上げ、熱い想いを愛沢絢夏にぶつけていた。誰もが心の中で熱い声を上げながら、愛沢絢夏と気持ちを一つに結び合っていた。
勢いよく届けたのが「To NEXT!」。頑張る人たちへ温かいエールを送るように、愛沢絢夏は大きく手を振り歌う。その手に触れたくて、フロア中でも数多くの手が大きく揺れていた。彼女と一緒に左右に手を振りながら、これからも一緒に歩み続けようと約束を交わしていた。
本編最後に歌ったのが、これからも、この場所(ライブハウス/仲間たちの前)で歌い続ける強い意志を示した「wake up」だ。ここに集った仲間たちと一緒にこの場所を守り続け、そこへ新しい歩みを重ね続けようと、愛沢絢夏は「僕はここで歌うんだ」と力強く本心をぶつけていた。フロア中から高く突き上がり、大きく揺れる無数の拳が、彼女に熱いエールの風を送る。その拳は、愛沢絢夏と一緒にこの場所を守り続け、共に未来へ続く歴史を重ねようと応える声にも思えた。「人はいつも間違いを繰り返し たくさんの別れ道と出会う 人生を賭けて答え探すために 僕はここで歌ってるんだ」。それは昔から、そして、今も変わらない愛沢絢夏の想い。その想いの炎を、この場所に集った仲間たちと一緒に、彼女は心の中で燃やし続けていた。
「アンコールは、ふたたび新曲の「Over Limit」を演奏。フロア中に灯された赤いサイリウムの光が、気持ちを解き放つように力強く賭けだした演奏と、きつく握りしめた拳を突き上げ歌う愛沢絢夏の歌声に触発され、大きく揺れ動いていた。ここにいる人たちを笑顔へ導くように。挫けそうな、崩れそうな心を支えるように、愛沢絢夏は熱いエールとなる想いを歌い叫んでいた。ここ(ライブという場)を笑顔の花で埋めつくせるなら、愛沢絢夏はここへ集まった仲間たちへ、何度だってエールを送り続けてゆく。
熱狂を求める仲間たちの理性をすべて取り払い狂ったように一緒に騒ごうぜと誘うように、愛沢絢夏は最後に「Be Crazy」をぶつけた。愛沢絢夏自身が感情をぶち壊すハンマーとなり、ここに集ったすべての人たちの感情の留め金を破壊し、騒ぎ狂う祭り人へ変えていった。誰もが叫んでいた、「Crazy For Crazy」「For Crazy」と。メンバーが、フロア中の人たちが思いきり跳ねれば、愛沢絢夏の合図に合わせスクワットする光景も。気持ちをすべて解き放ち熱狂するその様こそ、愛沢絢夏のライブだ。
愛沢絢夏は、ここから新しいChapterへと歩みだす。その道を一緒に進んでみないか…。最後に。この日の模様は、後に購入希望者のみに向けてLIVE DVDとして販売する。各地で愛沢絢夏を応援しているCRAZE(ファン)を含め、気になる方は、ぜひ手にしてもらいたい。
PHOTO:三浦真琴(maco)@macographer
TEXT:長澤智典
愛沢絢夏
―セットリスト―
「in the future」
「INSPIRE」
「当たり前の幸せ」
「HARUKAZE」
「go for it」
「Over Limit」
「愛しい人よ」
「To NEXT」
「wake up」
-ENCORE-
「Over Limit」
「Be Crazy」
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