2021.08.18
ハイダンシークドロシー インタビュー
昨年11月にだしたシングル『エルドラド』の頃から兆候はあったとはいえ、今年3月に発売したシングル『白黑有無-Xylochrome-』の中へ、ハイダンシークドロシーは明るいファンタジーな世界観を投影。昨年リリースした1stアルバム『ヒトリランド』へ記した「少女の心の内の物語」というダークファンタジー路線とは異なる物語を描きだし、ハイダンシークドロシーの第二章が始まったことを伝えてきた。歌詞の面でも、『エルドラド』『白黑有無-Xylochrome-』ともに遊園地を舞台にした、切なくも、でも光降り注ぐ想いを綴っていた。
その姿へ接してきたからこそ、次なる新しい物語もファンタジックな世界観を投影した楽曲になる…と予想していたところ、その期待を、新たな期待を塗り重ねる形で裏切るところがハイダンシークドロシーらしさ…。
活動の声を上げた2020年7月18日からちょうど1年後となる2021年7月18日に、ハイダンシークドロシーは最新シングル『百花千紅』を発売した。このタイトルは、9月18日と19日に行なう、1st Anniversary Special Liveに付けられた題名と同じ。そこへ浪漫を感じてしまうのは、ハイダンシークドロシーというバンドが、つねに小粋な仕掛けを施しできたからだ。
さらに8月18日には、全国各地をサーキットするイベントツアーへの参加に合わせ、会場限定シングル盤として『飾られた私と棘と事切れの部屋/Aglaophotis』を販売する。つまり、2ヶ月連続でのリリースになるわけだ。
でも、そこで話が終わらないのがハイダンシークドロシー。彼らは9月 日に2ndアルバムの発売も決めた。つまり、3ヶ月連続でのリリースになる。情次2号いわく、「将棋で言う歩となる『百花千紅』で攻めの定石を定め、飛車/角となる『飾られた私と棘と事切れの部屋/Aglaophotis』で攻めに入り、2ndアルバムで一気に勝負を賭ける戦略」とのこと。
彼らが『百花千紅』と『飾られた私と棘と事切れの部屋/Aglaophotis』へ示した楽曲は、90年代ヴィジュアル系ナンバーの香りを携えた胸をくすぐるアップチューン。歌詞にも、光を携えながらも、以前のようなダークファンタジーな世界を投影してきた。そこへどんな意味や想いが隠されているのかを、メンバーが語ってくれた。そこには、今後へ繋がる展開の布石となる想いが述べられていた。その発言を通し、これからの展開について、あなたなりに長考していただけたら幸いだ。
今でいうNEW NORMALでしたっけ?それをハイダンシークドロシーは作ってきた形でしたね。
――最新シングル『百花千紅』を配信リリースした7月18日が、ちょうどハイダンシークドロシーが世の中へ活動宣言してから1年後の日になりました。
靖乃 やっと1歳になるのか…。「ハイダンシークドロシーはよくライブをやってますよね」と言われることが多いんですけど。うちらの場合、ライブ活動を始めてすぐに定期的に配信ライブもやり続けてきたから、傍目にはそう見えてるのかなぁという印象ですけどね。
ジン 今年に入ってからは、3月にシングル「白黑有無-Xylochrome-」を出すのに合わせてワンマン公演をやって以降、現状では月1回の配信ライブしかやってない状態。ようやく夏に入ってイベントにも出始めたくらいの感じですからね。
情次2号 それでも、積極的にライブ活動をしているように見えるのはありがたい話です。
――昨年は、配信ライブもやるバンドも多かったですけど。最近は、その数も落ち着いています。だから、積極的にライブ活動をしてると見えるんでしょうね。
靖乃 ハイダンシークドロシー自体が、コロナ禍のど真ん中時期に動き出したように、「今まではこうだったよね」という常識自体が通用しないところから始まってるんですよ。だからこそ、変に既成概念に縛られることなく何にでも挑戦してきたように、そういう面での活動はやりやすかったですね。
――ハイダンシークドロシーは過去の経験に縛られず、その時代に似合う新しいやり方を提示してきたわけだ。
靖乃 今でいうNEW NORMALでしたっけ?それを、ハイダンシークドロシーは作ってきた形でしたね。
――作品も、コンスタントに出していますよね。
情次2号 それも、コロナ禍が影響してるんですよ。
――それは、どういうことですか?
情次2号 コロナ禍の情勢の中、ライブをやろうにも、これまでのように多くの対バン相手とライブをやるのは難しい。必然的にライブも、ワンマンやツーマンなど長い時間が当たり前になっていく。そうなると、1stアルバム『ヒトリランド』へ収録した曲たちだけでは物足りない面が出てくる。というか、もうちょっと選択肢を広く求めたくなる。そこから、「また新しい作品を出しましょう」と積み重ね続けてきた形で、今がありますからね。
谷琢磨 でも、生まれたばかりのバンドがワンマンやツーマンを中心に活動していけるのって、すごいことですよね。
靖乃 確かに、すごい経験ではある。
情次2号 もちろん、各自のキャリアがあってという理由もあるけど。それでも、普通はなかなか無いことですからね。
靖乃 それまでは、バンドを結成したら、まずは全国各地を回ってナンボみたいなところがあったからね。まぁ、4人それぞれに異なるバックボーンやキャリアを持ったうえで活動していけてることも大きいといいますか、各自引き出しがいっぱいあるように、直球から変化球までいろんなアイデアを出し合えるからこそ、活動がまんねりにならない強みもうちらにはありますからね。
――確かに、みなさん引き出しは多いですよね。
靖乃 みんな、苦労してるからじゃないですか(笑)。
情次2号 自分では引き出しは一個しか持ってないと思ってるんですけど、傍目からみると引き出しをいっぱい持っているように見えるんでしょうね。自分に関して引き出しは一つだけど、それ自体が人より少し大きめですから (笑)。
靖乃 情次2号さんは引き出し一個と言ってましたけど。ハイダンシークドロシーって、いっぱい引き出しを持った人が身近に寄り添いあっている。そのうえで、互いにいろんな引き出しからアイデアを出しあってゆくから、変に一緒くたになることがないんでしょうね。
かなり勢いのある、しかも『百花千紅』は「ヴィジュアル系やなぁ」という楽曲だからね。
――9月18日と19日に行なう1st Anniversary Special Liveのタイトルが「百花千紅」で、7月18日に配信リリースになった楽曲のタイトルも『百花千紅』になっています。まずは、この楽曲が生まれた背景から教えてください。
谷琢磨 先に1周年のワンマン公演を決め、そこからタイトルを元に楽曲にもテーマや題名を反映していった形なんですけど。この曲の歌い方は、これまで谷がやったことのないスタイルだったので、歌入れは大変でした(笑)。
靖乃 楽曲が持っているスピード感と、谷くんが持っているスピード感が合わへん(笑)。
谷琢磨 『百花千紅』では、ポルタメント(ある音から別の音に移る際に、滑らかに徐々に音程を変えながら移る技法)など、いろんな歌い方を取り入れながら、自分としては格好いいイメージで歌ったんですけど。走りに例えると、自分では男らしい凛々しい走り方をしているつもりでも、録った歌声を聞いたら女の子走りになっていて、「あれっ?」となるなど、求める声に辿り着くまで何度も歌い直しました。
靖乃 かなり勢いのある、しかも『百花千紅』は「ヴィジュアル系やなぁ」という楽曲だからね。
情次2号 楽曲が持つグルーヴ感は、我々昭和の世代にはなかったグルーヴ感なので、それを上手く表現するのも難しかったね。
谷琢磨 『百花千紅』は、テクニックだけではなく勢いも大事になる楽曲ですからね。
――『百花千紅』は、歌始まりの曲。谷さんは頭から「虹鳴ク心ノ廻」と力強く歌いあげインパクトを与えたように、幕開けの時点から強烈な印象を受けました。
谷琢磨 そこは、がんばりました(笑)。
――『百花千紅』は、頭から聞き手の興味をぐっとつかみたかった狙いもあったのでしょうか?
情次2号 今は、動画(MV)や配信(音源)でサッと触れる人たちも多いように、そういう人たちでも聞いた瞬間に谷くんの歌声に心つかまれるようにとの想いから、なるべく早いタイミングで谷くんの声を活かしたい思いはありました。
靖乃 どちらでも成立する曲とはいえ、谷くんの歌声がド頭なのか、Aメロから入るのかによっても、『百花千紅』の持つ印象はだいぶ変わってしまう。やはりそこは、先にインパクトをつかみたいなと。
――7月に配信リリースした『百花千紅』、8月18日に会場限定シングル盤として発売する『飾られた私と棘と事切れの部屋』 と『Aglaophotis』。3曲ともそうですが、かなり攻めた曲たちばかりですよね。それは、今のハイダンシークドロシーは勢力的に攻めてくぞという姿勢を示したことの現れなのでしょうか?
情次2号 キャリアを重ねていくと、ノスタルジーで音楽を続けたほうが良いみたいなというか、その人の培った音楽性を崩すことない曲たちを演奏し続けたほうがファンも安心感があるし、細く長く続けられるみたいな風潮も生まれてゆくじゃないですか。ハイダンシークドロシーも、1stアルバムの『ヒトリランド』を作った頃は、ノスタルジーとは違うけど、大人っぽいサウンドでいいし、ライブで盛り上がる曲を無理に作らなくてもいい。それよりも、良質な楽曲を届けることだけを考えようという気持ちで制作をしていたんですけど。実際にライブ活動を始めた中、お客さんを前にやっていると、やっぱし「盛り上げたい」気持ちにもなってきたんですよね。でも1番の理由は、8月に参加する「SPEED DISK PRESENTS~森羅万象tour'21#2」を見据えてのことでしたね。つまり、ライブツアーへ参加する以上は攻めていこうよと。
靖乃 ハイダンシークドロシーとして活動を始めた当初は、「アダルトな楽曲でもいいんじゃないか」という話もしていたように、ライブ先行というよりは、楽曲の世界観を先行して、1stアルバムの『ヒトリランド』での制作を進めてきたんですけど。その後、お客さんも入れた形で2度のワンマン公演をやれば、イベントライブにも参加していく中、4人共通して感じたのが「やっぱり攻めないとダメだね」ということ。まして8月に全国各地をまわるサーキットツアーへ誘っていただいた以上、「そこは攻めないとダメでしょ」という気持ちをさらに強く持ったことが大きかったですね。
ジン 「森羅万象tour」へ参加するバンドさんも、そのお客さんたちも、僕らよりも若い世代。そういう人たちの心へ響く曲をと思ったときに出てきたハイダンシークドロシーなりの攻め方が、『百花千紅』『飾られた私と棘と事切れの部屋』 『Aglaophotis』の3曲のような速い曲たちだったわけです。
ハイダンシークドロシー自体が黒(『メーズ』)から始まり、白(『白黑有無-Xylochrome-』)を経て、これから(『百花千紅』を通し)色づいて花咲いてゆく。そんな未来のハイダンシークドロシーの姿も重ねあわせ、歌詞を書きました。
――3曲ともそうですが、先行配信になった『百花千紅』も、かなり攻めたリズムアプローチをしていますよね。
靖乃 『百花千紅』自体に往年のヴィジュアル系楽曲らしさが出ているように、やっぱ古(いにしえ)のヴィジュアル系曲といえばリズムはシンコペーションでしょみたいなところがありましたからね。
ジン 往年の…という割には、テンポは速くなっているけどね。
靖乃 自分が慣れ親しんできたテンポ感よりは、確かにちょっと速い(笑)。
ジン 自分で往年の…といいながら、僕自身は世代の違いもあるのか、けっして慣れ親しんだ音楽性でもないんですよ。僕がハイダンシークドロシーの中で心がけているのが、デモ曲を聞いたときに、自分の引き出しにはないアプローチでベースラインが入れてあった場合、それを採用することなく新たに自分の色で構築するか、全部採用しながら取り組んでいくか、その2つの選択肢を持ってこれまでもやってきたんですけど。『百花千紅』と『飾られた私と棘と事切れの部屋』 に関しては、後者を採用しています。おかげで、必死に練習(笑)。だいぶ、力の入った演奏になりました。
靖乃 たとえばの話、『百花千紅』『飾られた私と棘と事切れの部屋』 『Aglaophotis』の3曲をライブの冒頭に持ってきたとしたら、この3曲を演奏した時点でバテバテになるくらい激しいんですよ。それくらい「身体を削って攻めてます」という曲のほうが、聞いてる人たちにも刺さるかなという気はしています。
――『百花千紅』の歌詞には、どんな想いを書き記したのでしょうか?
谷琢磨 『百花千紅』の歌詞を書くうえで重きを置いたテーマが「希望の種」でした。希望という種を蒔き、それが花咲き、どんどんその花を外へと広げていくんですけど。どんなに希望の花を咲き誇らせても、自分自身の心の中にある希望自体は、ずっと黒い存在であると自分では思っていて。そんな黒い希望へ、いろんな人たちの想いや、共に歩みながら得た経験などを与えてゆくことで豊かに色づいてゆく。そういうことをこの歌では伝えたかったんです。そのうえでライブ感を重視したといいますか、この曲ではノリに上手くはまる言葉を大切にしようと思ったことから、しっかり意味が通る歌詞の書き方を心がけたうえで、耳心地の良い言葉を当てはめた面もありました。
靖乃 まどろっこい言い方をしちゃうと、このノリが出なくなるからね。
谷琢磨 そこなんですよ。勢いを殺さない言葉選びや言葉の並びを意識しながら、物語の内容も崩壊させずに伝わることを意識して『百花千紅』の歌詞は書いています。
――『百花千紅』の中から響き渡る谷さんの歌声が、とにかくエモいですよね。
谷琢磨 ありがとうございます。そもそもハイダンシークドロシー自体が黒(『メーズ』)から始まり、白(『白黑有無-Xylochrome-』)を経て、これから(『百花千紅』を通し)色づき花咲いてゆく。そんな未来のハイダンシークドロシーの姿も重ねあわせ、歌詞を書いています。後半部分の歌詞からはとくに、どんどん色づく様が伝わっていくと思います。
ハイダンシークドロシーが描く歌詞の世界には、もともと「痛み」や「苦しみ」というテーマや世界観もあるので、この歌詞では「傷」や「刺」などの言葉も用いながら、その方向性を求めていきました。
――8月18日には、会場/通販限定シングル盤『飾られた私と棘と事切れの部屋/Aglaophotis』の販売がスタートします。中でも『飾られた私と棘と事切れの部屋』 は、90年代ヴィジュアル系ナンバーのような香りを強く持っているように、めっちゃ心惹かれました。
情次2号 8月から有観客による全国ツアーへ参加することもあって、王道のヴィジュアル系らしい楽曲があると良いだろうという想いから、お客さんの手の振りなどもなんとなく想像しながら『飾られた私と棘と事切れの部屋』 を作りました。と言っても、僕はずっとヴィジュアル系を聞いてきた人間ではないので、自分の中にある王道と呼ばれるヴィジュアル系楽曲のイメージを形にしたといいますか。とにかく、良質なメロディーの楽曲になるよう心がけた形でした。
――王道ヴィジュアル系と言っても、最近ではなく90年代や2000年代頭頃の感じを意識してきたところも、すごくツボにはまったところでした。
情次2号 イマドキのヴィジュアル系ナンバーといえば、身体を折り畳むのに相応しいモダンでヘヴィなサウンド多いんだろうだろうけど。それをハイダンシークドロシーでやりたいとは思ってなくて。それに、谷くんの歌唱スタイルを活かすという面でも、そこは古(いにしえ)の方向性だろうと思ったんですよね。おかげで、歌メロの流れがとても良い楽曲が生まれました。
靖乃 いわゆる太めのローチューニングのギターで音の壁を作ってドンッというのは、ハイダンシークドロシーとしては違うのかなと思いますし、往年のヴィジュアル系楽曲を求めたのも、このメンバーでやるなら…というのも、少なからず作用してると思いますよ。
――『百花千紅』も『飾られた私と棘と事切れの部屋』 も、耳馴染み良い良質なメロディー曲じゃないですか。7月に『百花千紅』、8月に『飾られた私と棘と事切れの部屋』 という流れを持ってきたのにも狙いがあったのでしょうか?
情次2号 8月に発売する音源はCD盤にもすることから、より勝負を賭けるという意味で、『飾られた私と棘と事切れの部屋』 を持ってきました。つまり、先に歩となる『百花千紅』で動きを作り上げ、8月に出す角となる『飾られた私と棘と事切れの部屋』 で攻めに徹し、9月に出す2ndアルバムで勝負を賭ける。そういう流れを持って組んだことでした。
――ジンさんの、『飾られた私と棘と事切れの部屋』 についての印象も聞かせてください。
ジン 『飾られた私と棘と事切れの部屋』 も古(いにしえ)のヴィジュアル系ナンバーということですけど、それでも僕が通ってきた音楽性よりは若い年齢層の曲調なんですよ。僕の引き出しで仕掛けると、その曲よりも年齢層が上がってしまうことから、この曲も、上がってきたベースのフレーズを歯を食いしばって練習し、自分のものにしていきました。
情次2号 『飾られた私と棘と事切れの部屋』 も、往年の楽曲よりもちょっとテンポが速いからね。
――『飾られた私と棘と事切れの部屋』 の歌詞には、どんな想いを詰め込んだのかも聞かせてください。
谷琢磨 この曲を、まだ仮の仮音源の状態で歌入れしたときに感じていたのが、「この曲はアレンジや歌い方、歌いまわし次第で、昭和歌謡にもいけちゃうな」という印象でした。でも、楽曲が求めているのはそっちではないように、その世界には寄り添わないようにというのも意識していたことでしたね。
ハイダンシークドロシーが描く歌詞の世界には、もともと「痛み」や「苦しみ」というテーマや世界観もあるので、この歌詞では「傷」や「刺」などの言葉も用いながら、その方向性を求めていきました。鳥籠が開いてるにも関わらず、鳥は外へ飛び立つことなく籠の中にいる表現もあるように、「心の部屋に閉じ籠もる」という世界観を表現しています。
――『飾られた私と棘と事切れの部屋』 のサビ歌が、胸をつかむ切なくも高揚したメロディーのように、ヴィジュアル系ファンなら絶対にハマッてしまうなと感じました。
谷琢磨 これまで自分がやってきた楽曲表現では、英詞を使うことがなかったんですけど。この曲で初めて英詞の単語をサビ始まりで使ってみました。結果、ブレーキをかけずに歌えたし、勢いを持った歌いまわしがでしたので、こういうアクセントの付け方って有効的なんだとすごく勉強になりました。
『メーズ』に登場する彼女たちの続きの物語をここには描きました。
――8月のシングル盤に収録になるもう1曲が、『Aglaophotis』になります。
谷琢磨 『Aglaophotis』はハーブの一種ですが、身体に憑依した悪魔を追い払うために使う薬でもあります。ハイダンシークドロシーが始まりを告げた『メーズ』という楽曲があります。その曲には、現実の世界に生きる女の子と、鏡の中に住むもう一人の女の子が登場します。『Aglaophotis』の中では"畏敬の愚者"と表現していますけど。その子たちは少し成長した今も、現実世界と鏡の世界とでやりとりを続けている。そんな彼女たちの続きの物語をここには描きました。
――中へ「血の紅茶」と記したように、お茶会の様子も登場。谷さんは、よくお茶会の模様も歌詞に描きますよね。
谷琢磨 紅茶やお茶会が大好きなんで、ついつい歌詞にも入れちゃうんですよ。
靖乃 ここでは、ちょっと物騒なお茶会が開かれていますけどね(笑)。
――『Aglaophotis』は、とても幻想的な雰囲気から幕開けつつ、ダークでヘヴィな世界へと落ちていきます。
情次2号 今回、「ちょっとメタルっぽい曲を書いてみるかぁ」となったんですよ。でも、メタルは好きだけど自分ではもうやらない決めていたので、けっしてメタル曲にはならないようにもしたいと思って出した、僕なりのメタル音楽への回答になった曲です。パッと聞いたらメタルな曲にも聞こえますけど、メタルの弾き方は一切していません。あくまでもヘヴィメタルの良いところを使いたかったというか。谷くんのファルセットを使った歌声とメタルサウンドの要素って、じつは相性がいいんですよ。なので、そこを活かそうとした結果、思いの外上手くいきましたね。
靖乃 俺、メタルのドラムは叩けないんですよ。むしろ、跳ねた音が得意だし、どんな叩き方をしてもその個性が反映してしまうからこそ、メタルのような叩き方をしてもけっしてそうはならない。逆に言うなら、ハイダンシークドロシーの特色にもなっている跳ねたビート感。それを出せるのが自分の武器やと思ってるし、真似ができるならやってみろと思っている節もあります。俺のドラムの音が跳ねてるのも、ジンさんのベースが重い感じなのも、他には真似できない俺らの色なんですよ。
ジン 『Aglaophotis』に関しては、とにかくメチャクチャ重く演奏してやろうと思って。この曲では、自分のルーツとしてある70年代ハードロックのテイストを持ちながら、思いきり自分が弾きたいように伸び伸びと弾かせていただいています。
情次2号 まるで水を得た魚のようにね。この曲の演奏も、70年代と言ってた割には、当時よりも速度は速いけどね(笑)。
谷琢磨 谷の歌い方も、『Aglaophotis』ではまさに水を得た魚状態でした。自分の中ではストレートすぎるくらいナチュラルに伸び伸びと歌っているぶん、歌い方の面では『飾られた私と棘と事切れの部屋』 と上手くコントラストも出せたなと思っています。
情次2号 あそこで別世界へ連れていかれたなぁとなるくらい、途中、三拍子になるところでの谷くんの歌声やコーラスのスパイスがすごく効いてて、いいよね。
配信シングル「エルドラド」以降の2ndアルバムまでの流れの中、どんな風にアルバム全体を通した世界観が描かれてゆくのかを、ぜひ楽しみにしていてください。
――ハイダンシークドロシーは、9月に2ndアルバムを発売します。
ジン アルバムはけっして攻めてる感じばかりでなければ、今回は出してこなかった大人っぽい表情もあるように、そこは楽しみにしていてください。
靖乃 9月には1st ANNIVERSARYを迎えたワンマン公演も控えているように、配信シングル「エルドラド」以降の2ndアルバムまでの流れの中、どんな風にアルバム全体を通した世界観が描かれてゆくのかを、ぜひ楽しみに待っていてください。
TEXT:長澤智典
★リリース情報★
4th digital single
「百花千紅」
アットワークスストアDL販売のみ ¥500
各種主要DLサイト・ストリーミングサービスにて順次配信中。
「百花千紅」 リリックビデオ short ver .
Single
「飾られた私と棘と事切れの部屋」
2021年8月18日(水)発売
会場限定CD ¥1,000 (tax in)
Track
1.飾られた私と棘と事切れの部屋
2.Aglaophotis
3.飾られた私と棘と事切れの部屋(off vocal)
4.Aglaophotis(off vocal)
通販開始 2021年9月5日(木)〜 ¥1,200
2nd Full Album
2021年9月18日(土)発売
★LIVE情報★
-イベント-
8月18日(水)福岡DRUM Be-1
8月19日(木)福岡DRUM Be-1
8月21日(土)大阪RUIDO
8月22日(日)名古屋E.L.L
8月28日(土)札幌SPiCE
8月29日(日)札幌SPiCE
9月4日(土)高田馬場AREA
-ワンマン-
1st Anniversary Special Live「百花千紅」
09/18(土)南青山MANDALA
09/19(日)Music Lab.濱書房(ONLINE LIVE)
詳細は、以下へ。
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