2021.09.01
XANVALA LIVE NEWS
XANVALAが、8月に全国5ヶ所を舞台に行なった初のワンマンツアー「XANVALA ONEMAN TOUR 2021~Curtain Call~」。同ツアーのファイナル公演「-終幕-」が、8月26日に高田馬場AREAで開催された。当日の模様を、ここに再現したい。
ようやく幕を開くことが出来た初の全国ツアー。コロナという人の生活環境のみならず、意識や考え方も歪めていく危険なウィルスが蔓延しなければ、1年以上前には開催されていたことだろう。
何度も何度も延期を繰り返し、ようやく2021年8月に実現。今年は公演によって一部メンバーが出られなかったりと、けっして無傷ではなかった。だからこそ、この場に5人で立てたことにメンバー自身も、観客たちも安堵と嬉しさを感じていた。
彼らはずっと戦ってきた。自分たちを取り巻く環境の中で起きた、対峙せねぱならない現実と。そのうえで考えを巡らせなければいけない自分たちの意識と…。そんな彼らの心の叫びを叩きつけるように、ライブは新曲の「聖戰」から幕を開けた。胸をグッとつかむキャッチーな歌メロも印象的。それ以上に、唸りを上げて疾走する演奏に乗せ、自分の気持ちと対峙するように歌い演奏する彼らの気迫に、魂が熱く揺さぶられる。咲かずにいれない高揚が、身体中を駆けめぐる。
巽の絶叫と、激しく唸る演奏を合図に「ジャノメ」が飛びだした。全身をグサグサと突き刺すような鋭利な演奏だ。その音にはギサギザに心をひっかく刺激という刺がたくさんついている。引っかき傷のつもりで歌や演奏を受け止めていたら、思った以上に深い傷を心や身体へ刻まれていた。そこから流れる興奮という血に触発され、誰もが身体を大きく揺さぶり、頭を振り乱し、現実の世界からみずからの意識を遠ざけていった。
演奏は、過激さを塗り重ねるように「雨声に帰す」へ。舞台上から溢れ出る轟音へひれ伏すのではない。頭を振り乱し、その轟音をさらに会場中へと振りまく観客たち。痛く感情を揺さぶる歌声や演奏を、激しさの中へ抑揚を加えながら突きつけるメンバーたち。だからこそ、その気合や気迫を、フロア中の人たちが騒ぐ姿を持って増幅させていた。フロア中にザンバラとたくさんの乱れ髪揺れる景色を見ながら、これぞXANVALAのライブだと感じていた。
続く「左耳の悪魔」でも、観客たちがその場で高く右手を振りかざし大きく跳ねれば、身体を深く折り畳み、沸き立つ感情を全力で舞台上へぶつけていた。制限の多い今でこそ珍しい光景かも知れない。でも、これが本来ライブ会場にあるべき姿。ソーシャルディスタンスという条件下ではあったが、高ぶる衝動は理性を乗り越え、その身を興奮に染めてゆく。
メンバーが喋り始めるまで鳴り止まない拍手。それが、この日の答えだ。その言葉の解釈は、あえてしない。でも、わかるだろ、そこに生まれていた空気がどんなものかを…。
「ちょっとずつでも前に進んでいる気がします」と語る巽。いやいや、XANVALAは何処よりも数歩は先へと進んでいる。コロナが発生したときから、常に挑戦を続けてきた彼らだからこそ、この時期につかんだ成果は、とても大きなものだ。
次のブロックの最初にぶち噛ました「DROID」でも、フロア中の人たちが右腕を大きく綺麗に左右へと振り、ときに激しく髪を振り乱し、フロア中に黒い乱れ髪や突き上がる拳の大波を作りあげていった。そうなるのも、納得だ。彼らが突きつける楽曲が、理性を次々と消し去り、頭の中を本能だけで覆い尽くしていくんだもの。これこそ、最高の理性の壊し方じゃないか!!
「二度とこない今日という日を絶対に忘れたくない。刻みつけていくしかねぇよな!!決まってるだろ、傷つけあうんだよ、傷つけあおうか!!」。巽の叫びとドス黒くて重い演奏に乗せ、XANVALAが突きつけたのが「悪辣が君を襲う」。フロア中が、綺麗なほどに身体を折り畳む景色に染まってゆく様がたまらない!!70.の叫ぶ声に合わせ、フロア中から付き上がる無数の拳。本能と本能をぶつけあう中で生まれた、このカオスな景色が最高に刺激的だ。思いを巡らせるなんて感覚は、とっくに消え去った。そんなことより、頭の中へ次々と流れてくる音楽が呼びかける誘いに合わせ、本能のままに意識や身体を揺さぶればそれでいい。
その感覚を身に感じながら、途切れることなく突きつけたミッドヘヴィな「帝」でも、観客たちが大きく身体を揺さぶり、舞台の上からあふれでる轟音に思いきり身を浸し、騒ぎ狂っていた。
さぁ、流れ出る演奏にすべての感情を注ぎながら、意識赴くままに暴れ狂え。「ratchet」の演奏に合わせ、気持ちが動くままに飛び跳ね、頭を大きくまわせ。それが一番の快楽だろ。首が軽く痛みを覚えるくらいの刺激が、ますます気持ちを熱く掻き立てる。誰も限界に挑戦しろなど言ってない。でも、そうしたくなる感情を、どうしても抑えられなくなる。
スリリングな音を突きつけながら、演奏は「ヒトリ舞台」へ。フリーキーなギターのフレーズが意識をどんどんイレースしてゆく。耳心地好くキャッチーな楽曲だが、この空間へ身を浸していると,楽しい衝動が止まらず、その場で大きく飛び跳ねずにいれない身体にしてゆく。フロア中の人たちが、壊れたぜんまい仕掛けの人形のように、その動きが止まるまで、意識をセーブすることなく全力で騒ぎ続けていた。このぜんまいの螺子、XANVALA舞台を去るまで止まるなんてことはなかったけどね。
胸を泣き濡らす「終幕」が流れたとたん、それまで狂ったように騒いで観客たちが、痛い感情をすべて懐の中へ飲み込むように、メンバーたちの演奏してゆく様をじっと見つめていた。でも、サビ歌では全力で飛び跳ねてゆく光景も。「終幕」、身体を縛るほどの衝撃を与えながら、体感的な興奮もしっかりと与えていった。
鳴り響くブザーの音。囁く巽の声と、刻む秒針の音を受け、楽曲は心地好く浮遊するように「眠る秒針」へ。轟音で感情や身体を揺さぶるばかりがライブではない。スタイリッシュでアーバンな表情もXANVALAは演目の中へ巧みに折り込みながら、でも、心だけはずっと揺らし続けていた。
「俺たちが作る未来は、俺たちが作る時代は明るいんじゃないですか!!乱れることは美しいとその身をもって証明してくれ」。フロア中に猛々しくも極彩色な音を振りまくように歌い演奏したのが、「文明開花」だ。今の形骸化したヴィジュアル系というシーンに革命を起こしてやると言わんばかりの勇壮な思いを胸に、XANVALAは「文明開花」をぶつけてきた。「俺たちの時代はもうすぐだ」の巽の言葉が生々しい。その言葉を虚勢ではなく、自信を持ってぶつけてゆくからこそ、その言葉を信じたくなる。フロア中で無数に扇子が舞う様も圧巻だ。新しい時代の幕開けは、何時だって破天荒だ。この破天荒な様が、きっと新しい文化の波を、このシーンにも吹き込んでいくはずだ。
「今年は君にとっていい夏になりましたか?一緒に最高の夏を。君のための8月を」。巽の言葉を合図に飛びだしたのが、「キネマ」だ。この楽曲でも、フロア中に観客たちの揺らす扇子が大きく波打っていた。躍れ、躍れ、踊り狂え。むしろ、それ以外に何が必要と言うんだ。楽しむことに理屈なんて必要ない。僕らが携えるのは、本能という裸の自分であることだ。
「生きてたらさ、どーしようもなく死にたくなる日があるんですよ。それでもさ、これからも先、死にてぇと思ったら、XANVALAを君の死ねない理由にしてください」。感情を剥き出しに、痛々しいまでに心をさらけだしながら、XANVALAは「ジセイ」をぶつけてきた。その勢いに触発され、フロア中で暴れ狂う観客たち。メンバーたちの歌う「ランランララン ランラララララン」の歌声に合わせ、会場中の人たちが心で歌い叫んでいた。それが今のルールなら、無理に破ろうとは思わない。それでも、本能だけは抑えられない。身体疼くままに躍る姿は、どんなルールでだって縛りきることはできやしない。
そんな桃源郷にいる感覚を覚えながら、最後にXANVALAが叩きつけた「XANADU」に飛び乗り、フロア中の人たちが熱狂の祭り人と化していった。高田馬場AREAの床を大きく揺らすくらいの勢いを持って飛び跳ねながら、誰もが意識の中に生まれた桃源郷(XANADO)の中へXANVALAのメンバーらと一緒に飛び込み、気持ちをイキきらせる快楽へ、とろけそうなほどに身を、心を預けていった。
アンコールは、XANVALAの始まりを告げた「鮮やかな猛毒」からスタートだ。フロア中にザンバラと乱れ髪揺れる光景は、今やXANVALAのライブではお馴染み光景。この楽曲は、触れた途端に理性というストッパーを外し、熱く沸き立つ気持ちと一緒に、恍惚という極みに気持ちをどんどん連れ出してゆく。観客たちが暴れ狂う野獣になるのも、納得だ。もっともっとイキきりたい。その衝動に激しく心突き動かされていることが、最高の快楽だ。
続く轟音無頼ナンバー「Bamby」を突きつけられた観客たちは、メンバーらに煽られるまま熱狂の虜になっていた。この空間の中、本能を剥き出しにした自分に戻れるためにこの曲はある。彼らの想いを受け止めた満員の観客たちが声を上げずに壊れてゆくのも、当然の景色だ。
続く「CREEPER」も、人としての意識など消し去って暴れ狂えと呼びかける楽曲だ。フロアには、激烈な演奏に身を任せ、くるくるとまわり続ける観客たちの姿があった。巽の「かかってこい!!」の言葉に触発される…以前に、フロア中の人たちはすでに「CREEPER」の演奏に合わせ勝手に祭り上がっていた。舞台上もフロアも、興奮と恍惚を自由に貪り喰らう。その様こそ、ライブとして求めたい、あるべき最高の輝きだ。
その鈍い輝きを、さらに美しい透明な輝きへと磨き上げるように、XANVALAは「SCALA」を演奏。歌要素の強い楽曲のように、フロア中の人たちは、ときに頭を振り乱しながら、巽の歌声を、メンバーたちの冴えた演奏を、胸の奥へとしっかり押し込め、ギュッと抱きしめていた。
「まだ君と行きたい場所があるんだよ。どうかXANVALAというバンドを信じ抜いてくれませんか!!この曲は俺とお前らの為の幸福論だ」。巽の叫びを合図に、最後にXANVALAは「誰が為の幸福論」を突きつけ、自分たちがXANVALAとして進み続ける意志をしっかりと示しながら。余所からガタガタ聞こえるうるさい声などすべて弾け飛ばし、自分たちだからこその生き様を、目の前にいる仲間たちへ伝えながら、今宵の幕を閉じていった。
最後に。以下へXANVALAの新しい動きを記したので、ぜひ、予定を書き込みながら、その日が訪れるのを心待ちにしていただきたい。
TEXT:長澤智典
XANVALA - 聖戰
【RELEASE】
XANVALA 3rd SINGLE
「聖戰」
2021.10.18 RELEASE
【LIVE情報】
XANVALA単独公演 巽生誕祭2021
「人間賛歌」
◆10月18日(月)
◆池袋BlackHole
◆OPEN 17:30 / START 18:00
[チケット]
前売 \4,000 / 当日 \4,500
※D代別
10/9(土)10:00〜発売
XANVALA 2nd ANNIVERSARY ONEMAN TOUR
「月と太陽」
開催決定!
〈ALL 2 DAYS|2022〉
01.12[WED] / 01.13[THU]HOLIDAY NEXT NAGOYA
01.19[WED]/ 01.20[THU]心斎橋Bigtwin Diner SHOVEL
《TOUR FINAL》
01.31[MON]/ 02.01[TUE]渋谷clubasia
〈Official Site〉
〈Twitter〉
XANVALA @XANVALA
Vo.巽 @XNVL_Tatsumi
Gt.Yuhma @XNVL_Yuhma
Gt.宗馬 @XNVL_Souma
Ba.70. @XNVL_70
Dr.知哉 @XNVL_Tomoya
〈Instagram〉
セットリスト
「聖戰」
「ジャノメ」
「雨声に帰す」
「左耳の悪魔」
「DROID」
「悪辣が君を襲う」
「帝」
「ratchet」
「ヒトリ舞台」
「終幕」
「眠る秒針」
「文明開花」
「キネマ」
「ジセイ」
「XANADU」
-ENCORE-
「鮮やかな猛毒」
「Bamby」
「REEPER」
「SCALA」
「誰が為の幸福論」
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