2022.08.31
DEZERT NEWS
今日に生きる彼らは、この夜ステージ上で自分たちの音楽を活き活きと伸びやかに表現し、4年前のあの頃では決してみられることのなかった屈託のない笑顔までをもみせてくれたのだった。
こんなにも素晴らしい“今日”を引き寄せ、確実に我がものとすることが出来たのは、ほかならぬ彼ら自身による功績だろう。
この8月にDEZERTがSHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて集中開催してきたシリーズライヴ「study」は、彼らが過去に発表したアルバムについて文字通り補習するための場であり、8月17日の[「study」#11 -真夏の“TODAY”補習編-]は、これまで[「study」#9 -真夏の“タイトルなし”補習編-][[study」#10 -真夏の“最高の食卓”補習編-]と続いてきた今年度夏季補習を締めくくるものとなった。
「もう4年前か。今日は4年前に出したアルバム『TODAY』を再現というわけではないな…なんて言えばえぇんやろ?
あの『TODAY』というアルバムは総じて“ありのままに生きたい”だとか、そういったことが言葉として多く並べられたものになっていたんですが、あれから4年が経った今の自分たちが“ありのままで生きたかった4年前とどう変わったか”ということを表現出来れば良いなと思ってます。もちろん、今日で全ての結論が出るわけではないし、DEZERTも君たちもこれから先に道は続いていくだろうだから、そんな未来にも思いを馳せつつ今日を楽しんでいきましょう。今日一日が〈生きててよかった〉っていう日になるようにね」(千秋)
「沈黙」「おはよう」と、まさにアルバム『TODAY』発表後に行われた[DEZERT LIVE TOUR 2018「What is “Today”?」]の時と全く同じ曲順で始められた今回のライヴにおいて、千秋が最初のMCで述べたのは前述の言葉だ。
そもそも、2018年にDEZERTが発表したアルバム『TODAY』は、メンバーの面々が後に自ら「暗黒期であった」と認めている2017年の[千秋を救うツアー][千秋を救うツアー2]を経て、紆余曲折と試行錯誤の末に完成した彼らにとっての重要分岐点となった作品で、音楽的な面ではより幅広いスタンスでロックというものと対峙し、歌詞の面でも普遍性やわかりやすさを意識したところが多分に見受けられた。と同時に、彼らはこの『TODAY』を完成させた直後に自分たちで運営していた事務所から現所属事務所であるマーヴェリックへと移籍し、結果として『TODAY』はそのマーヴェリックのレーベルからリリースされることになったことも大きなトピックスであったと言える。
「…悩んでるな、この『TODAY』を作ったバンドは。不安やったんやろな。怖かったんやろなぁ」(千秋)
「蛙とバットと機関銃」で〈仕方なく手にした武器は折れそうなバットだった〉という歌詞を〈〜マイクだった〉と歌い替えてみせたフロンマトン・千秋は、この曲をパフォーマンスし終わった後にこうボソッと呟いたのだが。確かに、あの『TODAY』には葛藤し模索するロックバンドの姿が映し出されている曲が多くみられるものの、ここでのあらたなアプローチが後の展開につながっていったケースも多い。
たとえば、この夜の公演でも演奏されていた「蝶々」「浴室と矛盾とハンマー」「Hello」「オレンジの詩」といった曲たちを筆頭に、ギタリスト・Miyakoと共に千秋もギター&ヴォーカルでマイクスタンドの前に立つ機会は、『TODAY』から一挙に増えていったと言っていいのではなかろうか。
また、SORAとSacchanによるリズム隊のグルーヴが強化されたうえ、音楽的な幅も格段に拡がったことで間口も広くなったのか、バンギャのみならず顕著に男性ファンが増えていったのも『TODAY』を出した時期からの著しい変化で、
なんと今回の[「study」#11 -真夏の“TODAY”補習編-]についても、今期「 study」の中では圧倒的に男性オーディエンスの数が多くみられたほど。
「僕はノスタルジックっていう言葉がキライなんですよ。過去は大事だけどさ。あと、原点回帰?とかもワケわからん。
戻る意味とかある??ただ、あらためて『TODAY』の曲たちをやってて思うのは、もともと「「殺意」」とか「「君の子宮を触る」」とかって歌ってたヤツが、いきなり“生きててよかったと思える日を探すバンドになってた”っていうのはちょっと怖いよな(笑)。いや、俺自身はイイと思うんだけどね。(中略)まぁ、あの頃に感じてたような不安って今もなくなったわけではないし、俺たちは結局ちょっとだけ才能があるから悩むんよな。全く何もなかったから絶望するしかないけど、それぞれ4人ともちょっとだけ才能があるばっかりに悩んじゃうんです。でも、むしろとことん不安になるしかないって最近は思うようにもなってるし、そうなったことで自分の気持ちはかなり楽になりました。(中略)そして、やっぱり俺は未来に何かを期待したい。これを2018年の時点でわかってたら…当時もっと良いライヴを出来てたとは思うんやけども。敢えて綺麗事を言うと、あの時がなければ今もしかしたらこんな風には続いてなかったかもしれないよね」(千秋)
そういえば、当時『TODAY』の内容に対しては「DEZERTは成長した」「DEZERTは良いバンドになった」という評価が多々寄せられていた反面、ファンの一部からは「DEZERTは売れ線に走った」「DEZERTは変わってしまった」といった声も噴出し、中にはもったいないことに“あがっていった”人々もいたのだとか。
また、アルバムとしての『TODAY』の完成度が高かった一方[DEZERT LIVE TOUR 2018「What is “Today”?」]については、まだまだバンド内の状態がベストコンディションまでは整い切らなかったことがあったようで、舞台上には時折ピリついた空気が漂っていたのも事実。
故に、各曲の持つポテンシャルが現在ほどは活かされ切ってはいなかったところがあったような気はするが、
そこに関しては今回の「 study」をもって完全回収し見事挽回をしたことになるはず。
ちなみに、今回の「study」では3夜ともに演奏されていた2013年発表のアルバム『特製・脳味噌絶倫スープ~生クリーム仕立て~』に収録されていた「飼育部屋」、同じく2013年発表のセカンドシングル『「ぼくの死骸と君のチョコレート。」』収録の「チョコレートクリームチェーンソー」の2曲も「けっこう育った」そうで、この酷暑にあって自ら補習を課した意義は予想以上に大きかったらしい。
なお、この日の「飼育部屋」ではメンバー紹介と称したメンバー同士の無邪気なジャレあいがみられ、4人の嬉々としている姿が微笑ましかったこともここに付記しておきたい。4年前であれば、想像も出来なかった眩しく尊い光景がそこに在ったのだ。
当然のごとく、そうした様々な場面を経てから本編ラストで聴けた「TODAY」はただただ感無量の一言。
4年前よりもずっと、頼もしさと優しさの両方をたたえた律動を叩き出すSORA。
4年前よりもずっと、寛容で深いベースラインを紡ぎつつ千秋とシンクロしたコーラスワークまで決めるSacchan。
4年前よりもずっと、情熱的で熱い音を響かせるMiyako。4年前よりもずっと、力強く愛のこもった歌を聴き手の心に直球で投げてくる千秋。
〈生きててよかった そう思える夜を探してく覚悟 気付いたよ そして初めて僕が踏みだす一歩〉
歌っている詞自体は4年前と基本的に変わらなかったとしても、
あの当時のこの曲が悲壮感と焦燥感を超えたうえでのカタルシスへと到達する赤裸々な歌であったとするならば、
今日のこの曲はDEZERTの未来に対する“期待”感をどこまでも膨らませるような希望の歌として聴こえてきた。この違いはあまりに大きい。
しかも、アンコールでの「おやすみ」では「TODAY」とは対照的に歌詞の多くがかなり歌い替えられることになり、聴き取れた範囲では
〈少し迷ったっていいさ〉
〈少し迷っても 僕が助けてあげると そんなことは言わないけど 今は笑って欲しい〉
〈瞳は閉じたくないから 君の隣で歌うよ〉
〈自分がわからなくて 自分が足りなくて それでも期待して〉
〈今日はおやすみ〉
といったフレーズたちがあらたに歌われていた。主旨を違えることなく、その時点に最もフィットした歌を伝えられる千秋のこの才覚はつくづく素晴らしい。
一転しての「大塚ヘッドロック」では、プレイ前にグダクダのフリートークで場がゆるみまくり、ややシュールなモノマネが連打されたり、
果ては千秋のフリでLUNA SEAの「ROSIER」を無理やりメンバーにコピーさせるも何故かサビまでたどりつかないなど(笑)、
なかなかの無軌道ぶりまで久しぶりにみせてくれたところについては、全て千秋の優れた才覚をもってとりあえず帳消しとしよう。
かくして、アンコールのシメでは「「君の子宮を触る」」と「「切断」」でDEZERTならではの濃密なはっちゃけ方をしてくれた[「study」#11 -真夏の“TODAY”補習編-]は、かれこれMCも含めてトータル2時間半超という長丁場とあいなった。
終演後に観客らが規制退場をする際には、またもSacchanが(今回のMC中に千秋から実は最近13キロも痩せたとの情報アリ)インスト曲「-26時の冷凍庫-」を鍵盤で生演奏しながら見送るオマケ付で、集った人々は誰もが幸せな気持ちで帰途へと着いたことと思う。
さて。夏季集中補習が終わればやがて始まるのは2学期だ。
10月12日に発売されるあらたなシングル『The Walker』で、それこそ〈僕が踏み出す一歩〉の先を歩き出すことになるであろうDEZERTは、きっと次なるシーズンも今日というその瞬間を真摯かつ懸命な足取りで生きていくに違いない。
カメラマンクレジット 西槇太一、
ライタークレジット 杉江由紀
「study」#11 -真夏の“TODAY”補習編-
2022年8月17日(水)SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
<SETLIST>
01 沈黙
02 おはよう
03 蝶々
04 Sister
05 MONSTER
06 蛙とバットと機関銃
07 「遭難」
08 浴室と矛盾とハンマー
09 飼育部屋
10 Hello
11 オレンジの詩
12 肋骨少女
13 「変態」
14 「遺書。」
15 insomnia
16 TODAY
En1 おやすみ
En2 大塚ヘッドロック
En3 チョコレートクリームチェーンソー
En4 「君の子宮を触る」
En5 「切断」
≪DEZERT最新リリース情報≫
■NEW SINGLE 「The Walker」
2022年10月12日(水)発売
<初回限定盤(CD+DVD)> DCCL-245〜246 / 2,750円(税込)
<通常盤(CD)> DCCL-247 / 1,650円(税込)
【CD】※初回限定盤/通常盤共通
1. The Walker
2. あの風の向こうへ
3. モンテーニュの黒い朝食
4. The Walker (instrumental)
5. あの風の向こうへ (instrumental)
6. モンテーニュの黒い朝食 (instrumental)
【初回限定盤特典】
・特典DVD付
The Walker Music Video -Director's Cut ver-
The Walker Music Video -Behind the Scenes-
「神経と重力」Live Video at 日本武道館 (JACK IN THE BOX 2021)
・初回盤仕様ジャケットデザイン
・トレーディングカード 3枚入り(ランダム封入)
【通常盤特典】
・トレーディングカード1枚入り(初回プレスのみ。ランダム封入)
※トレーディングカードの絵柄は選べません。(全10種類)
<CDのご予約はこちら>https://DEZERT.lnk.to/lkh8oX
≪NEW SINGLE「The Walker」の購入者限定LIVE≫
■12月7日(水) Veats Shibuya OPEN 17:45 /START 18:30
≪NEW SINGLE「The Walker」購入者対象イベント≫ ※初回限定盤対象(通常盤は対象外となります。)
■「ポストカードにサインして渡スン会(かーい)」 10月15日(土)17:00 タワーレコード梅田NU茶屋町店6Fイベントスペース
■「生写真渡スン会(かーい)」 11月26日(土) 13:00~/14:00~ タワーレコード渋谷店5Fイベントスペース
■アコースティックライヴ 11月26日(土) 集合19:00 開始19:30 タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
<購入者対象イベント / 店舗別購入者特典 詳細はこちら> https://www.dezert.jp/news/detail/5510
≪DEZERT最新ライヴ情報≫
■DEZERT × 夕闇に誘いし漆黒の天使達 “すっごいツインテールを決める会”
2022年10月28日(金) Shibuya WWW X OPEN 17:45 / START 18:30
■DEZERT × Royz “デザートとロイズでアナタのハートに火はツキマス〜?...多分ダイジョウブデスっ!”
2022年11月15日(火) 東京キネマ倶楽部 OPEN 17:45 / START 18:30
【チケット料金】1F・オールスタンディング 6,000円(税込・全自由)
※整理番号付、入場時ドリンク代別途必要、営利目的の転売禁止、未就学児入場不可
【オフィシャルHP先行受付(抽選)】 https://eplus.jp/dezertxroyz1115-official/
受付期間:2022年8月20日(土)12:00~8月27日(土)21:00
入金期間:2022年8月31日(水)13:00~9月6日(火)21:00
※イープラス抽選受付、スマチケのみ、お1人様2枚まで(同行者登録有)
【一般発売】2022年9月25日(日)10:00~
(問) DISK GARAGE 050-5533-0888
■2023年 東名阪ツアー
2023年1月7日(土) なんばHatch
2023年1月9日(月・祝) 名古屋 DIAMOND HALL
2023年1月14日(土) TOKYO DOME CITY HALL
※詳細は後日発表
≪オフィシャルファンクラブ情報≫
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DEZERTオフィシャルサイトhttp://www.dezert.jp
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