イベントライブコラボ
2023.01.05
UNLIMITED FES -DAY 2- ライブレポート
LiLiHoLi

 彼女たちは開口一番「拳!」と声を荒らげ、観客たちを煽りだした。二日目のオープニングアクトを担ったLiLiHoLi。ゴシック&ラウドな音楽を背景に、自らもロックの魂を胸に抱いた荒ぶる美の存在と化し、観客たちを煽りだしていた。冒頭を飾った『From Darkness to Light』でメンバーたちは、グロい煽り声と、美しく、でも芯の太い歌声を巧みに詰み合わせ、この場にドラマチックでシンフォニックロックな世界を描きだす。グロウルするメンバーの歌声は、強烈なインパクトと存在感を放っていた。その声があるからこそ、メロディアスな歌を担うメンバーのハイトーンを活かした声が、より印象深く耳に響いていた。

  まるでデスメタルバンドのライブを体感しているような音の衝撃だ。続く楽曲の『Gothicanative.Ω』でも、ゴシックでダークな世界を、メンバーたちはこの空間に作り出す。ヘドバンしながら歌う様もインパクトが強ければ、この曲ではタオルを振り回し、この空間に一体化した景色を作り上げていた。三人に煽られるたび気持ちが荒ぶる。その感覚に浸っていられることが、とても心地良い。

  最後もLiLiHoLiは、楽曲の最初からメンバー全員で頭を振り乱し、ゴシック/ダーク&ラウドな『Chaotic azure』を叩きつけていった。自身の描きだす独奏的な、闇と病みが支配する世界へ観客たちを導き入れ、黒い熱情で、見ている人たちの血を沸かせていった。

5%BERMUDA

  前日にオープニグアクトとして登場した5%BERMUDAが、二日目はイベント本編のアクトとして登場。二人は、冒頭から「GO!GO!~」と声を張り上げ観客たちを騒がせだす。『La la tu lu ra-i』で二人は、マシンガンのようにラップを繰り出し、観客たちを煽りだした。クールなトラックの上から熱くエモい言葉を次々と突きつけ、彼女達は観客らに強いインパクトを与えていった。

  フロア中に熱いクラップを求めた上で、『motivation』へ。この楽曲でも二人は、エレクトロでクールなトラックに、ラップや歌声でエモーショナルな表情をつけてゆく。それぞれの個性の出た声にも惹かれるが、それぞれの歌やラップが交錯しあったときの心地良い緊張感が嬉しい魅力にもなっている。二人の大胆でセクシーなダンスパフォーマンスも、ずっと視線を捉えていた。

  5%BERMUDA流の煽りから続くナンバーは『like this』。熱情したダンストラックの上で、二人が躍動一体化したダンスを見せながら、この曲でも、エモい歌やラップを次々と突きつけていった。サビ歌で見せる甘くエモい歌にも心惹かれつつ、やはり視線はセクシー&ダイナマイトな、そして躍動感溢れるダンスパフォーマンスから目を離せずにいた。

 最後に5%BERMUDAは『to be explosion』を通し、さらにエモーショナルさを増す形で挑発し続けていった。福永ありさ、JUNAの両名共に凛々しい様を見せながらも、沸き立つ熱情も叩きつける。途中、福永ありさが挑発するような激しいダンスパフォーマンスも披露。クールなトラックの上に、二人の歌声やパフォーマンスが熱情した色をガンガン塗り付けてゆく。そこに、視線も心も惹かれていった。

主謀者翔馬

 「劇的演説歌手」の異名を持つ主謀者翔馬。演説台を前にしたライブは、観客たちをアジテートするように『ピグマリオンスピーチ』からスタート。激しさと耽美な要素をミックスした楽曲の上で、彼は妖艶な声色を通し、見ている人たちの心を魅了してゆく。彼が拳を振り上げるたび、フロアでも同じように拳を突き上げる人たちが登場。とても印象深く、耳に残る歌だからこそ、歌い煽る形で思いを伝える言葉の数々も印象深く胸に突き刺さる。

  ジャジーで妖艶な、跳ねた激しい演奏の上で、主謀者翔馬はみずからの妖艶さも魅力として妖しい歌の香りを振りまきだす。彼は『禁断症状』を歌いながら、観客たちを一度病み付きになったら捉えて離さない音楽の禁断症状に。いや、主謀者翔馬を欲して止まない禁断症状にしていった。

 「飛べ」の声を合図に歌った『真贋見据えし我が思想』では、フロアにいる人たちを終始飛び跳ねさせる。うっとり酔いしる甘い歌声で、見ている人たちのハートを虜にしながら。軽快に駆ける楽曲で観客たちをずっと跳ねさせていた。とても胸に残るキャッチーな歌だ。だから、その歌にも虜になっていく。
                       
   胸を熱く騒がせる歌が飛び出した。主謀者翔馬は『サイレントナイト』を通し、フロア中の人から熱いクラップを導き出せば、サビ歌では左右に大きく手を振る景色を作り上げていった。胸の内に抱いた痛い感情を、彼は否定することなく。むしろそれを、自ら前へ進む力に変えるように「サイレイトナイト」と連呼していた。しっかりと前を向くその姿に、熱いエールを送りたい。

  「狼煙を上げよ、其の身を燃して」と高らかに声を上げ、主謀者翔馬は『狼煙を上げよ、其の身を燃して』を歌い出す。ドラマチックでハードな楽曲だ。疾走した曲の上で、胸の内から沸き立つ熱情した思いのままに、彼は拳を突き上げながら「狼煙を上げよ、其の身を燃して」と何度も歌っていた。その拳に合わせ、フロアから上がるいくつもの拳。舞台上とフロアの人たちが気持ちを一つに盛り上がる。そこに、一体化した熱狂の景色が生まれていた。

  最後に主謀者翔馬は、再び演説台を前に『死なば諸共』を歌い出した。彼の手の動きに合わせ、フロアでも観客たちが同じ動きをしてゆく。ゴシックシンフォニア/ハード浪漫な楽曲を通し、主謀者翔馬はこの場に熱情した宴を作り上げた。心通じあった者たちが気持ちを熱く赤く染め上げる熱狂を、そこに生み出していった。

Clarity

 ここからは、バンドのパートへ。登場したのはClarity。ヴォーカルANDYがアイルランド出身という理由もあり、歌詞はすべて英詞。むしろ洋楽感覚でエモくハードなロックサウンドを楽しめるのが嬉しい。冒頭を飾った『Man Fears The Dark』の時からClarityは、巧みに変拍子も組み込んだ、次々と転調しながらもキャッチーな印象を与える、つかみやすくもスケール大きな楽曲を演奏。玄人受けするアプローチも見せながら、どんな人でもすぐに溶け込み、エモくなれる楽曲を歌い奏でるところも、このバンドの魅力だ。

 破壊的な衝動も携えた『In the End』では、サビに歩向かってどんどん気持ちを熱情させる、まさにエモい展開を見せていた。テンションの高い演奏へ導かれるまま、気がついたら気持ちの内側に熱く滾る思いを抱いていた。身体を心地好く揺らしながら、何時しか熱情した音楽に酔いしれる。その展開が格好いい。

 雄大な景観を描く『Love is...』の演奏がスタート。だが、美しくもエモい景色をワンコーラス描きだしたところで、楽曲は、スィートでハートフルな『Come Home』へと流れるように移り変わっていった。二曲を繋げたと思えない、ドラマチックな一つの楽曲を味わっているようだ。次第に熱を増しながら、再びゆったりとした表情へ塗りかえてゆく様など、心地良い流れを抱いた展開の中にも、胸を嬉しく騒がせるドラマをClarityは描きだしていった。

  止まることなくClarityのライブは続く。『True Believer』では、しっとりとした、どこかアーバンでソウルフルな音の上で歌う姿を見せてゆく。そんな優しいエモい姿をワンコーラス見せた上で、楽曲は再び熱量を上げながら躍動したドラマを描き出す。一曲一曲が親しみやすく、だけど先の展開の見えないエモーショナルなドラマを作り上げる曲たちばかり。だから、どの曲でもいつの間にか身体を揺らしているのだろう。

  最後に彼らは、『Serenade』を演奏。さざ波のような優しい面からビッグウェーブを覚える躍動まで、一曲の中で豊かな表情を巧みに作りながら、見ている人たちを心地好い音楽の波の中へ彼らは巻き込んでいった。終始、誰もが身体を揺らし続けていたのも、それだけClarityの描く楽曲や演奏が、感情を心地好く揺さぶってくれたからだ。

Hexa Beat

  ミュージカル俳優/タップダンサーの宮下恵一を中心に、タップダンスを基軸とした、役者・ダンサー達によるパフォーマンスチームのHexa Beat。この二日間のイベントは彼らが主催者として開催。一日目に引き続き、二日目にもステージに登場した。

 Hexa Beatのステージは、先日と同じスタイルとなる楽曲を用いたタップダンスから始まった。四人のタップダンサーらが『GOOD LUCKY!!!!!』に乗せ、その曲をより豊かに彩る要素をタップの音を用いて描き加えてゆく。時に楽曲に溶け込みながら。時に楽曲を際立たせる形を取るように、四人はタップのハーモニーを響かせていた。

 続いては、一人の男性タップダンサーが無音でプレイ。折井稔による、いわゆる「アカペラ タップダンス」と呼ばれる、ソロのタップパフォーマンスだ。二本の足が鳴らす音を用いて、リズムの歌を作りだす様が目の前で繰り広げられる。ときにクラップも交え、手と足がそれぞれ作りだす音を組み合わせ。この場にいる人たちも巻き込みクラップを求めながら、彼は一つのタップナンバーを作りあげていった。

  続いて披露したのが、インストナンバーの『Pappa Parappa』に乗せた、おちゃのソロ・タップパフォーマンス。軽快に弾む楽曲に合わせ、タップのリズムを楽曲の一部として加えるように。むしろ、タップの音を楽曲を引き立てる歌声やハーモニーのように使いながら、彼女は曲の持つ楽しさへ華やかさを描き加えていった。これもまた、タップの楽しさだ。
      
  同じくインストナンバー『海の見える街 (Jazz ver.)では、ジャジーでムーディーなピアノの旋律も心地良い楽曲へ。同じようにタップのリズムという旋律を描き加えるように、宮下恵一、さささ の二人のタップダンサーが音を塗り重ねていた。

  最後は、三人のタップダンサーが「アカペラ タップダンス(三人 ver.)」として、三人が作りだすタップのリズムだけで。しかも、ソロ・デュエット・トリオといろんな形態を組み合わせ、表情豊かなリズム曲を作りあげていった。Hexa Beatが示した、タップダンスが持つ無限の可能性。それを、目の前で味わえたことがとても嬉しかった。

omoimegurasu

 「夜に揺れて揺れて、溶けましょう」をコンセプトに活動しているomoimegurasu。『earphonic』を通して奏でるサウンドが、身体を心地良く横揺れさせるスタイリッシュなダンスミュージック。ヴォーカルを担う祐の歌声がエモーショナルなのは、もちろん。芯の太い声質を魅力にしていることあり、存在感の強い歌声で観客たちの身体をグイグイ揺らしていく。だから初見で触れた人たちも、気がついたらomoimegurasuの演奏に合わせ、心地良さげに身体を揺らしていた。そしてそんな人たちが、フロアのあちこちに見受けられた。

  続く『ナイトクルージング』では、ナンリの奏でるシャキシャキッとしたギターサウンドを先頭に、観客たちを心地良い夜の航行へと連れ出した。舞台の上から溢れ出るスタイリッシュかつアーバンなダンスナンバーに身を任せ、このままゆらゆらと身体を揺らしながら、音の中で心地良く酔いしれていたい。omoimegurasuの音楽、身体へ気持ちよくスーッと染み込んでくる。だから、いつの間にかその音に心が同化し、一緒に素敵な音楽の旅に参加していたのかも知れない。

 『新しい実験』では、祐のみならずナンリも歌やラップに参加。omoimegurasuの演奏は、ここからさらにテンポを上げ出した。夜が醸し出す心地良さをしっかりと活かしながら、よりどっぷりと深い夜の国へと心の一歩を踏みだしたような感覚だ。この曲で見せた二人の低音を活かしたクールなラップが、甘い表情の中へビターな刺激を与えていた。ナンリの苦みの効いたラップやハーモニーがあるからこそ、祐の歌声が、よりエモさを増して心の中へ広がりだす感覚を覚えていた。

  『bismuth』でも、夜が生み出す、現実を消し去り、幻想や浪漫に身を浸していたい感情。良い意味で現実逃避していける酩酊した感覚が、ライブの中に生きていた。感情の高ぶりに合わせ、楽曲の速度も緩急しながら、豊かな彩りを見せてゆくところも嬉しい見どころだ。

 「僕らは何て足りてなくて綺麗だ」。最後にomoimegurasuは、アンビエンスな要素も活かしたチルでソウルフルなポップミュージック『解放』を歌い、見ている人たちを真夜中のどっぷりとした妖しい空気の中へ導いていった。見ている人たちも、そのディープな色へ心地良さを覚えるように、二人の歌声や演奏に触れていた。祐の感情のままに声を響かせるエモーショナルな歌が、気持ちを優しく酩酊させてくれたのも嬉しかった。

GeeSLY

 ダンスボーカルユニットとして活動しているGeeSLYのライブは、五人の一体化したダンスパフォーマンスを全面に押し出しつつ、パワフルさの中へキュートな魅力を詰め込んだ歌声も印象深い『MARVELOUS』からスタート。希望に満ちた思いや前を向く強い意志を、五人はダイナミックなダンスパフォーマンスに。更にラップも交えた、心開放した歌声に乗せて届けてゆく。決して力んだり気持ちを張っているわけではない。むしろ親しみやすさを感じるのに、歌声に強烈な存在感を覚えるのは、メンバーたち自身が心に持つ強い意志を、歌やパフォーマンスへダイレクトに反映しているからに違いない。

  続く『Rock with You』では、観客たちもクラップをしながら、メンバーのパフォーマンスへ参加。彼女らも高らかに声を上げて歌えば、時に拳を掲げ、大きく手を振りながら観客たちと一緒に気持ちの熱を上げれば、その熱を、未来へ突き進む強烈なエナジーにしてゆく。彼女たちの歌に触れていると気持ちが熱く奮い立つ理由もそこにある。もっともっと高ぶる感情を五人にぶつけたい。

  『STILL』は、女性の切ない恋心を歌ったバラードソング。メンバー自身が作詞している理由も加わり、一人一人が歌詞の中へ記した女性の気持ちに心を同化。自身も切なさを覚えながら、その中へ前を向く意志も滲ませながら歌を届けてくれた。切なさへ拍車をかけるようなパフォーマンスも印象的。何より、切なさを思いきり込めながら歌うその姿に、心がキュッと鳴り続けていた。

  その場の空気をガラッと変えるように、ポップなパーティーチューン『HELLO』を歌い踊りながら、この空間に眩しい輝きを振り注ぎだした。この曲では、メンバーと観客たちがタオルを手にし、一緒にくるくる回しながら、この空間に熱い空気を巻き起こしていた。力強く躍動する楽曲の上で、笑顔を浮かべ-、歌いはしゃぐメンバーたちの姿がキラキラ輝いて見えていた。その輝きに手を伸ばすように-フロアにいる人たちも手を振り上げ、タオルを振り回していた。

  最後にGeeSLYは、最新シングルの表題曲でもある『Girls Just Wanna Have Fun』を歌唱。メンバー五人の一体化したパワフルな歌声がインパクト強く胸に突き刺さった。華やかでダンサブルな楽曲の上で、彼女たちは気持ちをアゲアゲに、見ている人たちの腕も、気持ちもハンズアップさせ、止まることのないアッパーでパンチの効いたダンスナンバーに乗せ、一緒に身体を揺らす楽しいパーティーへと導いていった。

VORCHAOS

 トリ前に現れたのは、ラウドな衝動をぶち噛ますVORCHAOSだ。煽りを受け、高く突き上がる拳。ライブは優しい声色を響かせた『Infinity』からスタート。演奏陣が重い音を奏でだすごとに、速度を上げるごとに、演奏は激しさを見せてゆく。激しく疾走する音の上に、時にがなる声も混ぜながらとはいえ、メロディアスでエモい歌をヴォーカルの淳は届けてゆく。だから、身体は熱を覚えながらも、気持ちはずっとその歌声を通して見える感情の揺れに惹かれていた。

 ここから、過激さを増した音が一気に炸裂。唸りを上げて爆走しだした演奏の上で、淳が声を突きつける。どんな楽曲でもエモーショナルさを魅力にしてゆくところがVORCHAOSのスタイル。『Tear drop』でも、生きることの意味を、生きるためその勇気を、そこに支える仲間がいることを、彼らは伝えていた。いや、仲間たちへ呼びかけていたと言ったほうが正しいだろうか。だから、その想いへ共鳴した人たちが、高く拳を振り上げていたのだから。

 続くラウドナンバー『He's back again...』は、「MISTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談ナイト」のテーマソング。途中、おどろおどろしい表情へ転調してゆく面や、因果を覚える歌詞にも、テーマ曲らしさを覚える。むしろ、ホラー系のラウドロックナンバーとして昇華し、恐怖よりも熱狂を与えてゆくところが、VORCHAOSのライブらしいじゃない。

 「みんなで一緒に歌おうぜ」。高らかに声を響かる淳の歌から始まる『Singularity』だ。長年、ライブ空間の中へ熱狂を描き続けてきた楽曲に相応しく、大勢の人たちが歌心のある曲に心を傾けながらも、淳と一緒に大きく手を振り上げ、身体を激しく揺らし、熱情したその空気に嬉しく浮かされていた。 

 その場に生まれた熱い勢いをさらに大きく膨らませるように、VORCHAOSは『季節の終わり』を演奏。これまで以上にメロディアスでエモーショナルさを持った楽曲だからこそ、歌に耳を傾けつつも、この曲でもずっと拳を高く突き上げ、熱情した演奏に、誰もが無邪気に気持ちを預けていた。終盤、フロア中から上がった「オーオーオーオー」の合唱が、胸に熱い。この光景だよな、彼らがこの空間に求めていた景色は。

 最後にVORCHAOSは、何処までも願いが届くようにと思いを込め、『遠く』を演奏してくれた。優しい音色や歌声を通し、熱強に身を任せたことで身体中が火照った観客たちの気持ちを,彼らはこの楽曲を通して優しく抱きしめてくれた。この曲でも、メンバーらの歌に合わせ、多くの人たちが高く腕を突き上げ「遠く」と歌う場面が登場。淳も、ステージ最前に腰掛け、観客たちと同じ目線で、思いをより強く響かせるようにみんなの近くで『遠く』を歌っていた。それがどんな表情だろうと、思いがしっかり届けば、いつだって、こうやって一つになれる。それが嬉しいじゃないか。                                            

EXiNA

 トリを飾ったのが、 EXiNA。この日は、西沢幸奏名義の楽曲とEXiNAとしての楽曲を巧みに織りまぜて構成。ギターを手にしたEXiNAは、エッジ鋭い音を突きつけた。「渋谷かかってこい!」の声を合図に、楽曲は『PERiOD』へ。彼女は、最初から感情のボルテージをトップまで上げる勢いで歌声を突き刺せば、この会場にいる人たちへ気持ちを熱く染めあげる戦いを挑んでいた。フロア中から上がる「Oi!Oi!」の熱い声。その雄叫びさえ自らを高ぶらすガソリンに変え、EXiNAはガシガシにギターを掻き鳴らし、沸き立つ感情を歌声にぶつけていた。

 続く『吹雪』は、西沢幸奏としてのデビュー曲で、アニメ『艦隊これくしょん -艦これ-』エンディングテーマとしても起用されていた曲。この楽曲を、今のEXiNAのモードで歌うことで、楽曲はよりエモーショナルさを増していた。いや、そんな甘い言葉ではない、今にも爆発しそうな凄まじい熱を抱いた楽曲へ昇華。沸き立つ気持ちを熱情した声で響かせるたびに、フロア中の人たちも拳をガツガツと突き上げ、高ぶる気持ちを彼女にぶつけていた。なんて凛々しく、いや、雄々しい楽曲だ。気持ちのモードがどんな色に染め上がるかで、その曲の持つ色も塗り変わる。その理由を、この日のライブを持って実感していた。

 次の『The Asterisk War』も、西沢幸奏名義での楽曲でこちらはアニメ「学戦都市アスタリスク」のオープニングテーマでもある曲。 この曲では最初から爆音を響かせ、観客たちを全て飲み込む勢いでEXiNAは挑みかかっていた。叫ぶように歌うその声に、ノイジックなほどの轟音を響かせる演奏に刺激を受け、気持ちが熱く高ぶり続ける。荒ぶる中でも、ドラマチックな展開を描き出す楽曲の輪郭をしっかりと伝え、そこへ感情を乗せながら、彼女は楽曲の持つ魅力で観客たちの心を奮わせていった。

 演奏は、さらに激しい勢いを加えるように『DONUT』へ。荒ぶりながらもエモーショナルさの生きたEXiNAの歌声と、 理性を消し去る演奏に触発された人たちがフロア中で暴れ騒いでいた。曲が進むごとに熱がガンガン増してゆく。EXiNA自身が、凄まじい熱を生み出す核のような存在だ。言葉を、感情をしっかりと歌声と掻き鳴らすギターの音に乗せ、彼女はこの場をエモい空間へ染め上げていった。

  最後にEXiNAは、再び荒ぶる声の飛び交うライブ空間での再会を願い、『BYE BYE』を演奏。この曲でも彼女は、沸き立つ熱情へ導かれるままに感情の揺れの見える歌声を届け、一人一人の心へ思いを突き刺していった。凄まじい熱を身体中に持った、いや、EXiNAの存在が放熱する核そのものだ。その熱に触れ、冷静でなどいられるわけがない。だからこそ、またこの熱狂を身体に熱く刻みたい。

エンディング

  イベントの総合MCを務めたikomaに出演者たちが呼び込まれ、この日、出演した人たちがステージ上に登場。それぞれ一言ずつ挨拶を述べつつ最後に会場を沸かせながら、この日のライブを華やかに閉じていった。


PHOTO: Masahiro Yamamoto/SUGI(※EXiNAのみ)
TEXT:長澤智典

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