リリースロックライブ
2024.11.15
Empress インタビュー
 現在の第3期体制になってから1年強。2月に発売したシングル『Rain』に続き、Empressは11月20日に1stフルアルバム『Departure』を発売する。本作は、第1期メンバーで制作した1stミニアルバム『カタルシス』と2ndミニアルバム『運命』に収録した全曲を、今のメンバーで再構築した作品。特徴的なのが、『きみと空』を『ブルーライト』のタイトルに変更。Empress始まりの歌『one day』を、歌詞を書き換え『Departure』と新たな形に作りあげたこと。12月8日(日)には、下北沢ReGで「Empress 1st FullAlbum Release ONE-MAN LIVE Departure」も行われる。ここでは、1stフルアルバム『Departure』について4人にじっくりと語ってもらった。


その形こそが、今のEmpressのやりたいスタイルなんです。

──1stフルアルバム『Departure』は、1stミニアルバム『カタルシス』と2ndミニアルバム『運命』に収録した全曲を今のメンバーで再構築した作品。まずは、そうした理由から教えてください。

みつき  以前から、過去に音源化した曲たちをライブで演奏をするたびに、「このメンバーでの音源はないの??」と問い合わせをいただいてきました。メンバーみんな、「今のEmpressで楽曲を残したい」気持ちを強く持っていたこともあって、今回、1stミニアルバム『カタルシス』と2ndミニアルバム『運命』に収録した全曲を、今のEmpressのスタイルにアレンジする形で新録しました。本当なら、第2期時代に作った『Rebuild』もと思ったのですが、リリース時期と制作期間の兼ね合いから、今回は第1期時代のみにしていますけど。ライブでは、すべての曲を第3期のスタイルとして伝えています。

LeA  今までのメンバーの音源が嫌だじゃなく、今のEmpressが好きだからこそ、「このメンバーでの音源がほしい」という声が日々増え続けています。だからこそ、それを現実にしようという話になったときは、メンバー一同「よっしゃ!!」となりましたからね。

──本作の大きな特色が、Empressを活動初期から支えてきた『one day』の歌詞を書き換え、『Departure』という新しい形に仕上げたこと。もしや歌詞の内容が、LeAさんの意識感覚と違うからなのかな?!と思いました。それこそ『ラストシーン』に綴った淡い恋心は、LeAさん自身の性格とはちょっと異なるのかな??とも感じています。

LeA  どの曲でもそうですが、わたしは歌詞に綴られた場面や思いをイメージし、それを自分へ落とし込む形で歌っています。わたし自身が、思い慕うよりは攻めてく性格だからなのか、『ラストシーン』に書かれた感情になかなか自分の思いを乗せられず、みんなに演奏で世界観を作ってもらい、そこへ気持ちを入れ込む形でようやく表現しました。
  わたし自身が、普段から"感"で動くタイプ。「やりたい」と思ったらパッと動くし、「やりたくない」と思ったらすぐにやめちゃう。しかも、好奇心旺盛なタイプ。だから『ラストシーン』と『one day』の歌詞を読んだとき、わたし自身の感情とは異なるから、どう気持ちをノセようか試行錯誤したのは確かです。『one day』は、わたしが新たに歌詞を書き換え『Departure』という新しい形にしたので、今はしっかりと感情を乗せて歌っています。 

──さすがに『ラストシーン』を歌いたくないとか、歌詞を書き換えようとまでは言わなかったんですね。

LeA  いや、言ってました(笑)。レコーディングでは、いろいろと試行錯誤のうえ納得のいく形に出来ましたけど。ライブで歌うとなったとき、自分の中でこの曲をまだ確立できていないので、「ライブで歌うのはちょっと待って」とも言ってます(笑)。でも、先に控えたワンマン公演の日を含め、いずれは歌うことになるんですけどね(笑)。
  『one day』の歌詞を変えたのも、わたしが「どうしても感情をノセにくいところがあって」という話をメンバーにした中、「じゃあ、歌詞を変えて表現しようか」という言葉が出たことから、「じゃあ、変えます」と言って『Departure』の歌詞を書きました。

みつき  『one day』は、Empressの始まりを告げた大事な楽曲だからこそ、今のEmpressの曲にしてでも届け続けたかったんですね。しかも、このアルバムを通してEmpressは新たな出発を告げるからこそ、『one day』に込めた思いを根底に据えた上で、LeAが、これからのEmpressに相応しい歌詞にしてくれました。

──ファンたちの中には、『one day』に思い入れを強く持っている人たちもいるんじゃないですか?

みつき   「あの歌詞が良かった」と、正直がっかりしている人たちもいると思います。でも私たちは、そういう思いを持つ人たちにも、ここから新たに始まるEmpressを好きになってもらいたいし、今の私たちを映し出した『Departure』を大事にしてもらえたらなと思っています。良ければ、その思いを受けとめてください。

──バンドの歩みや成長とともに、楽曲も進化していくものですからね。

みつき  自分たちの変化や成長にあわせて、楽曲も同じように変化や成長していくものだと思います。だから今回のアルバムでも、大胆な変化はしていませんが、曲ごとにメンバーそれぞれの個性を生かして多少アレンジを変えているわけですからね。むしろ、それで良いなと私たちは思っています。


──ギターのアレンジもいろいろブラッシュアップしていますよね。

みつき  ギターはけっこう変えました。フレーズがちょっと変わったり付け足したりもあれば、構成が変わった曲もあります。でも、その形こそが、今のEmpressのやりたいスタイルですから。

この作品は、「新しい形のハードロックバンドとしてEmpressの音楽スタイルを確立すること」をテーマに制作しています。

──それぞれ、アルバムに収録した中からお勧めの楽曲を聞かせてください。LeAさん、先に『Departure』へ込めた思いについてもお願いします。

LeA 「Departure」とは出発のこと。ここへ至るまでにも、それぞれが何かしらの傷を負いながらも乗り越え、成長した姿として、今、Empressという場を通して出会うことが出来ました。その傷を一人で抱え込むのではなく、みんなで一緒に抱えたうえで、未来へ向かって出発しよう。ここから4人で新たに出発しようという思いを込めました。中に書いた明星というのは、朝方に見える金星のこと。金星は、芸術の星。芸術の星に向かって、4人で全力で駆けて行こうという思いも、この歌詞には詰め込んでいます。『one day』の歌詞は直接的な表現が多かったですが、わたし自身が含みを持たせた歌詞を好む傾向があるので、『Departure』の歌詞にも含みを持たせたうえで、ちょっと厨二病っぽい感じに書きました。

みつき  『Departure』のMVも公開になれば、この曲はBSよしもとで放送中「祇園花月presents 吉本新喜劇」の11月度エンディングテーマとしても流れています。

LeA  お勧めの曲についてですが、わたし自身がバンド未経験者から始めているから、どの曲にも全力で感情を込めています。だから、どの曲も聴いてほしい気持ちがあったうえでの話になりますけど。わたしの歌の師匠であるFullMooNのねねさんから、よく「LeAは綺麗に歌いすぎ、もっと感情を爆発させるなど強気な気持ちで歌えばいいから」と言われます。ライブではまさにそうなんですが、楽しい曲を歌うときは思いきり楽しんで、前向きな曲のときは前向きな気持ちを持って、「わたしが歌っていて楽しいんだから、聴いてるみんなも絶対に楽しいでしょ」と思いながら歌っています。だからこそ、悲しい曲なら一緒に落ちていってほしいと思って歌ってるし、『ナイトメア』のようなどろどろとした恋愛感情の歌なら、「一緒にどろどろの感情まで落ちてほしい」と思いながら、ズーンとした表情で歌っています。わたしは、聴いてくれるみんなを同じ気持ちの中へ引き込みたい。だから、どの曲もそういう気持ちで歌ったし、聴いてくれた人たちも同じ感情になってくれたら嬉しいです。

──『BEST LIFE』のようなシンガロング出来るアッパーな青春ロックチューンも、そういう気持ちに染まって歌ったわけだ。

LeA  楽しんで歌っています。どの曲もそうですが、わたしの歌声の感情表現次第で、演奏陣の気持ちも変わっていきます。それこそ『ビターブレンド』の中、わたしが「ギター、みつき!!」と振るタイミングや叫ぶテンション次第で、ギターの感情だって変わっていく。そういうところはつねに意識しています。ギターと言えば、『Departure』のラスサビからラストまでのギターが鳥肌立つくらいに格好いいから、ラスサビの歌とギターの絡みも含め、そこは絶対に聴いてほしいです。


──そして、お待たせしました。ようやくマリーさんといおりさんにも語っていただきます。

マリー  聴いてくださった方が「おっ!!」と驚く顔が思い浮かぶのが、『運命』です。ベースは、低い音域をカバーする楽器。もちろんベースがなくても楽曲は成り立ちますけど、間違いなくアンサンブルが薄くなる。演奏するうえでも、ルート弾きだけで表現しても成り立つ楽器ですが、『運命』のベースは「ルート弾きなんか知ったこっちゃない」と言わんばかりに指が動きまくっています。それが格好よくてお気に入りです。『運命』のベーススタイルはとくに、誰でも出来ることではなく、このメンバーがいての演奏だから成り立っているなと思っていて。だからこそ、とくに『運命』の演奏には注目してほしいです。

──マリーさん自身、手数多く弾きたがる人?

マリー   増やして良いのであれば増やすタイプです。たとえバラードだろうと、演奏を重ね、様子を見ながら、ちょっとずつ、さりげなく増やしていくタイプ。うちのドラムのいおりが、さりげなくドラムのフレーズを変えたりもするんですね。それを察知するたびに、わたしも「あっ、ここをちょっと変えてきたな。じゃあ、わたしも変えよう」となって変えることはよくあります。そのうえで、さらにいおりが変えたりもするんだけど(笑)

いおり  その変化へ、すぐに気づいてくれるよね。

マリー  そこは、お互いに楽しんでいるところです。

いおり  わたしがお勧めしたいのが、 『ビターブレンド』。この曲の1番と2番のBメロに疾走感を出したいと思い、自分なりに譜面を起こして新たに作りだしました。そこはぜひ聴いてほしいです。
  これはライブの話になりますけど。以前は、楽曲を表現することに必死でしたけど、最近は、演奏をしながら楽しさを爆発出来るようにもなりました。それがライブで一番出ているのも『ビターブレンド』になります。今のEmpressは、LeAがめっちゃ感情を乗せた歌で引っ張ってくれるから、そこにドラムも乗っかって楽しめています。LeAの歌声には、いつも笑顔になるパワーをもらえています。それをアルバムでも表現しているので、そこを感じてください。


みつき アルバム『Departure』に収録した曲全体を通して、所々ギターのフレーズが変わっています。今回の作品を作るにあたって一番求められたのが、自分のギタースタイルをしっかりと確立していくこと。この作品は、「新しい形のハードロックバンドとしてEmpressの音楽スタイルを確立すること」をテーマに制作しています。以前からそうでしたが、新しいメンバーを迎え入れるたびに、自分が明確なスタイルを持っていないと、他のメンバーに迷いが生じるし、それがファンの人たちにも伝わる懸念がありました。今もまだまだ模索中ですが、自分のギターでどれだけハードロック感を出せるかを主題に置いて、それぞれの楽曲をアレンジしていけば、それを押し出した作品としても作りあげました。

── 「新しい形のハードロックバンドとしてEmpressの音楽スタイル」という発言がありましたけど。Empressは多様性を持った音楽スタイルも魅力にしています。その辺は、今後どうなっていくのでしょうか。

みつき ハードロックを求めるからと言って何かがめっちゃ大きく変わるわけではなく、そこは細かい演奏の面でのことであって、今後もいろんな音楽性を表現していくし、根底にあるスタイルが変わることはないです。

── 『one day』の歌詞を『Departure』に変えたのは大きな変化でしたが、『きみと空』を『ブルーライト』のタイトルに変えたところには、どんな意図があったのでしょうか。

みつき じつは『きみと空』と決まる前までの、わたしが曲を作ったときに付けた仮のタイトルが『ブルーライト』でした。この曲を作りあげたとき、目の前にブルーライトのメガネがあったことで閃いたのがきっかけでした。そのタイトルで持っていったら、プロデューサーが「『ブルーライト』、空っぽくていいねぇ」と言いだして、そこから当時のメンバーがイメージを広げて歌詞を書けば、今も、歌詞の内容は当時と変えてないです。ただ、もともと仮で付けたタイトルを気に入っていただけに、今回のタイミングをきっかけに戻そうと思い、メンバーに提案したところ、みんな「いいよ」と言ってくれたので、『ブルーライト』にしたというのが経緯になります。

LeA むしろ、『ブルーライト』のほうが歌詞の世界観が広がるし、メンバーとしては「いいじゃん」というノリでした。

ワンマン公演では全曲を披露しながら、そこへ、この日初披露する新曲も加えた形になりそうです。

── 12月8日(日)には下北沢ReGで、アルバムの発売記念も兼ねたワンマン公演「Empress 1st FullAlbum Release ONE-MAN LIVE Departure」が決定。この日は、どんな内容になりそうでしょうか。

みつき Empressの持つ全楽曲を披露しながら、そこへ、この日初披露する新曲も加えた形になりそうです。また、ライブの合間にも各メンバーのコーナーや、ちょっとした遊び心を持った企画を挟もうかと考えています。今回、以前の楽曲を今のEmpressとして形にしたからこそ、改めて今のEmpressで持ち曲のすべてをファンの方々に見せたいんですよね。もちろん、初めてライブを見る方でも楽しめる内容にします。

マリー 今のメンバーで、シングルの『Rain』を発売したときも全曲披露ワンマン公演をやり、そのときも新曲を披露しましたけど。あれからさらに新曲が増え、そのうえで12月8日にまた新しい強い曲を披露するから、この日はEmpressの歩みを一気に味わえるはずです。


みつき  形にしていない、このメンバーで作りあげた新曲がすでに数曲はあるからこそ、来年早いタイミングで、新曲ばかりを詰め込んだミニアルバムを出そうと思っています。まだ明確な時期は言えないけど、なるべく早い時期に出す計画を練っているところです。

──それは、嬉しい報告だ。

みつき  シングル『Rain』もそうでしたけど、今回の1stフルアルバム『Departure』こそが、今のEmpressにとっての出発地点となる作品。歩みを止めることなく、ここからさらに突き進んでいきますから。11月24日には、新宿ディスクユニオンのヘヴィメタル館で私物サイン会を行います。ディスクユニオンさんでCDを購入していただけたらサイン会への参加券をいただけるので、ぜひ大切にしている私物を持ってきてください。私たちがサインをしますから。

マリー   アルバムのブックレットもボリュームがあって、最後にサイン出来るページもあります。ぜひ、サインを書かせてください。私物に関しては、機内持ち込みOKサイズくらいまででお願いします。「外に止めてある車やバイクにサインを」と言われても、さすがに難しいので。

みつき  小さいからと言って、保証書や契約書にもサインは出来ませんので(笑)。

LeA  普段身につけるものとかにサインがいいのかなと思います。

マリー  以前、仕事で使うパソコンを持ってきて、そこにサインを書いたこともあったように、そこは無理のない範囲で。でも、どんなものを持ってきてくれののか私たちも楽しみにしています。求めるのなら、メガネのレンズにだってサインしますから。

いおり  スマホの画面にだって、遠慮なくガンガン書きますから(笑)。

TEXT:長澤智典

Empress「Departure」MV FULL
https://www.youtube.com/watch?v=Uqm2RkXZwqY

Empress new single 「 Rain 」 MV FULL
https://www.youtube.com/watch?v=GMIdVZdTYeU

Empress 1st FULL ALUBUM「Departure」
発売日:2024年11月20日(水)
レーベル:ジリオンモードプロダクション
販売価格:定価\3,300(税抜価格\3,000) 
収録曲
1.Dreaming of Reign
2.Departure
3.カタルシス
4.ナイトメア
5.ハルジオン
6.ラストシーン
7.運命
8.ビターブレンド
9.ブルーライト
10.渚
11.BEST LIFE



2024年12月08日(日)下北沢ReG
Empress 1st FullAlbum Release ONE-MAN LIVE Departure 
開場 17:00 開演 17:30 
前売り¥4,000(Drink別)当日¥4,500(Drink別) 
出演 Empress 
GUEST FullMooN
イープラスチケット 
 https://eplus.jp/sf/detail/4165300001-P0030001


SNS

https://x.com/Empress_tw
https://www.zillionmode.com/


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