バービーボーイズ NEWS

2025.03.29

バービーボーイズ NEWS

オリジナルは1988年8月5日発表の、近藤敦(KONTA)主演映画『・ふ・た・り・ぼ・っ・ち・』サントラ盤“RADIO-K, BARBEE BOYS”名義『JUST TWO OF US』が5/21に復刻リリース決定。KONTA、いまみちともたかに加え、彼らがBARBEE BOYS結成前に活動していたバンドのメンバー、能勢寛との３人編成ユニット「RADIO-K」名義の楽曲とBARBEE BOYSの「使い放題 tenderness (Re-Mix Version)」「part of silence」を併せて収録したＷ名義のアルバムとなっている。なお、アナログLPは今回が初復刻となる。

ファン待望かつ注目のアナログ盤でのリイシューだが、初復刻アナログ盤ならではの隠れた＜仕掛け＞が本作でも用意されている。今回の一連のBARBEE BOYS 40th記念アナログLP復刻ではレーベル面のデザインが一新されており、発端はオリジナル盤からBARBEE BOYSのジャケットデザインを手がけている、アートワーク、ビジュアル面のキーパーソン、アフター・アワーズ・スタジオ植田敬治氏のちょっとした遊び心からだった。そのきっかけとなった『1st OPTION』のB面は当初文字のみのデザインだったところに、ハチ君のバックショットの写真の存在があきらかとなりB面で初採用、その後も植田氏のアイデアにより、各アルバムのモチーフや写真の一部を使用しての新たなレーベル面のデザインが採用され、現在に至っている。そして、今回発表の『JUST TWO OF US』のレーベル面では、植田氏のアイデアをベースに、新たにKONTAの閃きや拘りも注入され、シンプルかつ映画のサントラ盤を想起するデザインに仕上がった。本作の＜隠れた＞アピールポイントとなっている。今後も復刻LPのレーベル面にはぜひ注目してほしい。

男女のツインボーカルで、1987年「女ぎつね on the Run」でブレイク、「目を閉じておいでよ」はオリコン週間ランキング最高位8位を記録、80年代中心に人気を博した5人組ロックバンド、バービーボーイズが2024年9月21日、デビューシングル「暗闇でDANCE」から40周年を迎えた。『1st OPTION』『Freebee』『3rd. BREAK』『LISTEN! BARBEE BOYS 4』『Black List』と続く復刻リリースの連打と並行して、今年1月には＜NHK総合『The Covers～放送100年！名曲LIVE スペシャル～』＞でいまみちともたかと杏子が地上波に登場、今月は『「X年後の関係者たちあのムーブメントの舞台裏」2時間特別編…バンドブームスペシャル！』(BS-TBSにて3/9 21:00-22:54放送)に杏子が出演と徐々に活発な動きを見せつつある。デビュー40周年後半の展開にますます期待したい。

バービーボーイズは常に異彩を放ちながらシーンを駆け抜けてゆく。男女ツイン・ヴォーカルを擁するロックバンドという個性的な編成。疾走感あふれるクールなバンド・サウンドと印象的、刺激的かつキャッチーなメロディーの絶妙なバランス。時にエロティックなメタファーを絡ませた挑発的な歌詞。40年経っている今だからこそ、シンセやキーボードに頼らず、ほぼギターだけで驚異的な音像構築を見せつけた、いまみちのサウンドメイカーとしてのポテンシャルとバブル以前の普通の男女の憂いを切り取るコピーライティングは現在においても圧倒的。さらに、パンク/ニューウェイブの実験的なエッセンスをそのままお茶の間でも通用するポップさでやってのけるしやなやかエンタテインメント性。まさに意外性の連続。

KONTAと杏子の躍動するヴォーカルとバンドサウンドが織りなす音楽は今でも無敵。KONTAと杏子による掛け合いのヴォーカルはまるで小さな演劇を見ている錯覚にもとらわれる。歌詞の大半は様々な男女関係から生まれる世界が描かれ、男女のツインヴォーカルで別れる寸前の修羅場や痴話喧嘩を掛け合うところからも、ベタな演歌・歌謡曲の世界を完全にロックンロールへと昇華させた大発明と言っていいだろう。女の情念に男のわがままは、和音を奏でる楽器がギターのみに貫かれた、リズムを刻みつつリードも弾く「間」の減衰するスペースに、ソプラニーノサクソフォンと二人の男女による掛け合いヴォーカルを際立たせる構築美、研ぎ澄まされたバンドアンサンブルは、バービーボーイズにしかない唯一無二の真骨頂。当時のしのぎを削るバンドブームの中、バービーボーイズは完全に覚醒し独自の音楽を展開。他のバンドでは描けない成立しえない世界が確実にあった。そして、いまだにこの世界観を表現できるバンドは出てきていない。 “二股” “寝取り” なんでもありのバービーボーイズの歌詞の倫理観は、現代でも枚挙に暇がない、不倫やパパ活などの話題も完全に先取りしていた。

バービーボーイズは過去にも現在にもない、既視感のなさが新鮮、孤高。周囲のあらゆるものに対して同居を望まない距離感を保ちながら、時代のちょっとだけ先をめがけてきた。聴き手の"意思"を常に問うかのような、ただならぬバンド。『JUST TWO OF US』もこれまで同様、メンバー立ち会いによるリマスターによって、新たな響きを纏ってCDとLPで届けられる。今回も待ち切れないファンはきっと多いことだろう。

なお、毎月更新40周年特設サイト『暗闇日砲デジタル』WEB版も最新版が本日更新された。今号もファンは要チェックだ。引き続き注目してほしい。