Pretty Ash　NEWS | MUEステ

2023.02.18

Pretty Ash　NEWS

　2022年12月30日、Pretty Ashは、2023年2月25日ワンマン公演を持って現体制を終了することを宣言。発表を聴いた当時は、その実感をなかなか持てずにいた。正直、今もその実感を強く持てずにいる。でも…。

2月4日、Space emo池袋を舞台にPretty Ashが行った「Pretty Ash ONE-MAN GIG」へ触れたとき、今の彼女たちと出会う機会が間もなく終わりを迎えることを実感した。いや、せざるを得なかった。

この日は、メンバーにとって初になるバンドを従えたライブ。ここでは、昼夜行われた公演の中から、メンバーが私服姿でライブを行った「～day〜」公演の模様をお伝えしたい。

　荒ぶるパンキッシュなギターサウンドが炸裂，熱く駆けだす演奏に乗せ、メンバーらが登場。フロアから生まれた熱いクラップ。歪んだギターの音が吠えるのに合わせ、メンバーらが「ずっと心の中で響く音がうごめいて　僕を呼んだ」と歌いだした。冒頭を飾ったのは、共に未来をつかもうよと言葉にした『はじまりのうた』。メンバーらは、フロアに集まった大切な仲間たちに向け、拳を高く振り上げ、一緒に夢を追い続けようよと歌いかける。彼女たちがライブで歌いだせば、その瞬間から、未来に向かって駆けだす物語が始まる。たとえ、まもなく現体制の幕が閉じようとも、彼女たちが「さぁ踏み出すんだ全力で　何度だって転びながら　描け！」と声を張り上げるたびに、いつものように、果てぬ夢を共に描きたくなる。「さぁ歌を歌おう　大声で　がむしゃらでも関係ない」とメンバーらが呼びかけるたびに、(この日は心の中で)声を張り上げて歌い、叫んでいた。彼女たちが『はじまりのうた』を歌うたびに、僕らは、その先に何があろうとも、メンバーらと一緒に物語を描きたくなる。さぁ未来へ向けた物語を、熱い声の絵筆で、6人と一緒にライブハウスというキャンバスに描こうか。

「遠ざかる昨日を～いつか追いつくさと誓ったこの歌」と、フロアに詰めかけたたくさんの仲間たちへ思いを投げかけるように、6人はフロア中に歌声を力いっぱい響かせ、『Believers』を歌いだした。メンバーらは、むちゃくちゃ嬉しそうな笑顔だ。彼女たちは何度も拳を振り上げ、ここで仲間たちと一緒に「まだ止まらないのさこんなところでは」と、信じた未来へ走り続けることを楽しんでいる。6人は「Oh!Oh!Oh!」と声を張り上げながら、ここまで一緒に描き続けた熱狂と笑顔と涙の日々はけっして間違いではなかったし、これからもこの熱い景色を共に作ろうと約束を交わすように、「信じていつだって」「だからついてきて」と歌っていた。

熱を上げ続けるバンド演奏が、さらに轟音のレベルをアップ。メンバーらは、フロア中の人たちへ挑みかかる勢いで、荒ぶる声を張り上げて迫りだす。6人はエラバレシの『もっと、ねぇもっと』を通して、もっともっともっともっと現実なんか吹き飛ばし、一緒に、この空間に生まれた熱だけを分かち合い、笑顔になろうよと誘いをかけてきた。彼女たちはライブの序盤に、「ここから始まる物語」を記した歌たちを並べていた。これからの環境にどんな変化が訪れようとも、この空間に集まり、ともに熱くなれるのなら、何時だって、何時までだって、いろんな物語をもっともっと一緒に描いていけるんだからと、彼女たちは伝えてきた。

　ここからは、ユニットコーナーへ。まずは、AKANEとMIOが『恋は毒だ』を歌唱。ハウリングしたギターの音を合図に演奏はスタート。「恋は毒だ恋は毒だ～」と、彼女たちはいい感じで毒舌めいた言葉を投げかける。2人とも、感情のアクセルをグッと踏み込み歌っていたからだろう、熱を抱いた歌声をしっかりと突きつけていた。互いに歌声をリレーし、ときに甘い声も組み込みながら、AKANEとMIOは、この空間に熱狂の革命を起こそうとしていた。彼女たちの歌声と荒ぶる演奏に煽られ、フロアから熱いクラップが響き渡る。バンド演奏による熱い音が、2人の気持ちをガツガツ押してゆく。その音に刺激を受け「Oi!Oi!」と張り上げる２人の声にも、「恋は毒だ恋は毒だ」と叫ぶ声にも、熱が漲っていた。

続いて歌のバトンを受け取ったのが、HARUKAとSARA。それぞれのキャラクターや歌声の魅力を活かしながら、2人は、爽やかなポップパンクチューンの『Say Hello』を晴れた声で歌っていた。フロア中からずっと響き渡るクラップ。2人が「Say Hello ここにいるよ」と歌うたびに、心に爽やかな、でもしっかり熱を抱いた風が吹き抜ける。その歌声の風に乗せ、共に拳という翼をはためかせ、青く広がる世界へ飛び立ちたい。

最後に登場したのが、RURIKAとINORI。2人は『僕たちはイカロスじゃない』を、高ぶる思いを胸にエネルギッシュに熱唱。沸き立つ感情をぶつけるように、凛々しい表情で歌うRURIKAとINORI。その姿に向け、フロア中から熱いクラップが響き渡る。2人は、フロア中の人たちをキリッと見つめながら、胸の内から沸き立つ熱情を張り上げた声に乗せて伝えてきた。「遠く描いた空飛び越えてゆけ」「太陽さえこの手に抱いても希望は溶けはしないから」と歌いながら、自分たちの、Pretty Ashとしての思いや意志、熱情した言葉を、一人一人の胸の奥へ突き刺した。2人は歌っていた「自由に飛ぶための翼を持っている」と。その先にどんな運命が待ち受けていようとも、羽ばたく彼女たちの意思はけっして揺るがない。

MCでは、この日身につけていた私服のポイントについてトーク。ライブではエネルギッシュな姿を見せながらも、MCでは、だいぶ緩いガールズトークを繰り広げるところに親しみを覚えていた。

ライブは、後半戦へ。飛びだしたのが『Reality』。エレクトロな要素と歪みを上げた轟音をミックス。メンバーらも、冒頭から感情のボリュームをMAXまで上げる勢いで高らかに歌いだす。メンバー全員が、熱情した声をぶつける様が胸熱だ。とてもパワフルな歌声だ。バンド演奏に乗せてではなく、彼女たちのパッションにあふれた歌声が演奏を引っ張り、熱情した空間を作りあげる。落ちサビでは、甘く妖しい歌声を響かせれば、ふたたび上がりだした楽曲へ熱を注ぎ込むように、感情と声のボリュームをガンガンに上げながら歌う彼女たち。まさに、ここから這い上がる強い意思が、そこには漲っていた。

切々としたエレピの音に乗せ、優しい声でゆったりと歌いだす。とてもハートフルな6人の歌声だ。温かな歌声が嬉しい。でも、楽曲が駆けだすのに合わせ、メンバーたちの歌声にも、ふたたび熱が注がれだした。Pretty Ashは『限界突破でWe Go!』を通し、どんな環境だろうと、すべてをなぎ倒す勢いでここから突き進むし、これからも突っ走り続ける意思を、雄々しい歌声に乗せて示していた。そのパワーに刺激を受けた観客たちも、手が腫れる勢いでクラップしていた。「君がそばにいれば怖くない」と彼女たちは歌っていた。ここにいる人たちみんなを引き連れながら、限界を突破する勢いで、このまま。そして、この先も走り続けてくれ。

メンバー全員がおおらかに声を張り上げ「もう少しで輝けるんだろうかどこまで行けばいいのか」と『STEADY』を歌いだした。「オーオオオーオー」と歌うメンバーらの声に合わせ、フロア中からも熱い拳が突き上がる。彼女たちの歌声や演奏に合わせ、身体を揺らす観客たち。気持ちを一つに熱情した景色を作りあげる、最高のシンガロングナンバーだ。彼女たちの歌う「確かな夢に向かって」の言葉を信じ、これらもいろんな逆境を共にぶち壊しながら明日へ向かって走り続けたい。歌に込めた思いは消えることはないし、失くすこともない。一人一人の心の中から、信念を貫いた彼女たちの歌声と、確かな夢に向かって突き進む意思が途切れない限り、僕らは何時までもPretty Ashの歌と一緒に未来を見ていける。

最後にPretty Ashは、『アイデンティティ』を歌唱。瞬時に笑顔を導く明るくてハートフルな6人の歌に合わせてフロア中からクラップが起きれば、熱情一体化した声を響かせるサビ歌でも、たくさんの拳が、ステージに向かって突き上がっていた。エネルギッシュでパンキッシュなライブもPretty Ashらしいが、『アイデンティティ』のように、気持ちを高揚へと導く胸熱な歌も最高だ。一人一人が笑顔を浮かべ、拳を大きく揺さぶり、6人と、夢を追い求める意思を共有するのはもちろん。ただただ、無邪気にはしゃいでいた。「楽しい」。とても単純な言葉だ。でも、Pretty Ashのライブに足を運ぶたび、その気持ちでいれることが何にも変えがたい嬉しさだ。

　現体制としてのライブは、2月25日、横浜みなとみらいブロンテでの公演が最後になる。今はただ、この楽しい続きを、この日もたっぷりと味わいたいし、その気持ちしかない。その後のことは…今は、置いておこうか。