月照ラス NEWS | MUEステ

2023.02.24

月照ラス NEWS

　太田家/囁揺的音楽集団AsMR/月照ラスの3バンドを筆頭に、音楽系Vtuberユニット Silent Emotionなど、いくつものバンド/ユニット/ソロアーティストが所属しているMashup Records。同レーベルが、2023年1月より、太田家/囁揺的音楽集団AsMR/月照ラスの3バンドを中心に据えたイベント「-異彩-」を定期開催する。

その第一弾が、1月31日(火)に渋谷DESEOで開催した「Mashup LIVE -異彩- streaming by GALPO LIVE SHOW Vol.1」。ゲストに、ガールズフィスト!!!!GT 南松本高校パンクロック同好会。オープニングアクトに、気まぐれ喫茶ツキシロ(月城七星)も参加。当日は、ニコニコチャンネル「GALPO LIVE SHOW」で生配信も行われた。

　ここでは、月照ラスのライブの模様をお届けしたい。

Cuddle Music Project 月照ラス

SEが流れた時点で、そこは夜の帳が下りた、現実から少しだけ離れた幻想的な世界へと塗り変わっていた。「赤月染まる空に」と、ライブはemのアカペラが響き渡る形で幕を開けた。冒頭を飾った『風切羽』は、アコギの音色も優しい、闇の香りも含む美しくも幻惑した楽曲だ。その音色は、月明かり照らす舞台をここに作りあげていた。幻想的で麗美な音色に乗せ、emは嘆くように心の声を届けていた。絹糸のようなキラキラとした美しき夜の服(演奏)を纏いながら、彼女は心の中に堆積した思いを零すように歌っていた。

ドラムカウントを合図に、楽曲は歪んだ音を響かせ、一気に唸りを上げた。ギターを奏でながら。でも、ときに両手でマイクを握りしめながら、emは沸き立つ感情を突きつけるように『Daydream』を歌っていた。楽曲が持つ色にみずからの感情を染めあげ、emは痛い気持ちを突きつける。彼女の荒ぶる感情を、激しくもドラマチックに彩る演奏陣。曲が進むごとに熱情した歌声や演奏が楽曲に燃え滾る輪郭を描き、その曲を聴き手の胸へ強烈に焼きつけてゆく。

「真っ暗な夜をそっと照らすあの月のように～僕らが寄り添って生きるための音楽を…妬み、嫉み、日々の歪んだ感情を、どこに吐きだせばいいんだろう…良いことも悪いことも、すべて僕だけの基準」

emの語りを合図に、この日初披露となる新曲『My Criteria』へ。これまで以上に凛々しく、フロア中の人たちへ挑む姿勢で、emは胸の内に渦巻く思いや革命すべきメッセージを次々と吐きだしていた。その言葉や思いは、欲望を満たすうえで足りない欠片たちを探すようにも聴こえていた。emが歌の世界へ憑依してゆくのも、ベースのrinを中心とした勇壮な演奏が強烈な存在感を放っているからだ。間奏では、演奏陣がセッションプレイを交わしあう。その熱を己の身に吸収したemは、これまで以上に沸き立つ感情をぶつけ、痛い心の声を凛々しく突きつけてゆく。

　「一緒に歌える?」。轟音グランジなバンドサウンドと幻想シンフォニックな同期の音が交錯。熱を抱いた演奏の上で、emは「月が照らす夜に」と『Moonshot』を歌っていた。彼女自身が、月の導きによって、心を歪ませ。いや、歪んだ気持ちを真っ直ぐに矯正しながら、強い意思を持った歌を突きつけていた。広大な月夜の空が広がる中、天に見える淡い月へ思いを響かせるようにemは歌っていた。

「いつだって別れは突然やってくる～これが最後だとわかっていたら、僕は何を伝えていたんだろう～サヨナラさえ伝えられなかったあなたへ」

　月照ラスは最後に、眩い月明かりでフロア中を照らすように、客席中の人たちを真っ直ぐに見据えて『サヨナラと言えない僕に』を歌っていた。とてもエモーショナルな歌声なのも、これまで以上に熱を抱きながらも前向きな輝きを放つ演奏なのも、月照ラスが嘆く心を後悔で浸すのではなく、黒く心染めあげる感情にさえ輝きを与え、その先の未来を照らそうとしていたからだ。照らされた先にどんな世界が待っているのかはわからない。でも、今の自分を塗り替え、照らされた月明かりを道標に前へ歩もうとする、その気持ちを伝えてくれたことが嬉しかった。

　「僕が僕らでいられるこの場所が大好きだから、また、ここで待ち合わせしよう」