2019.09.30
待ち望まれたVTuber界の「歌姫」が降臨 HIMEHINA初のワンマンライブ「心を叫べ」レポート
待ち望まれたVTuber界の「歌姫」が降臨 HIMEHINA初のワンマンライブ「心を叫べ」レポート
バーチャルアーティストの田中ヒメ、鈴木ヒナによるユニット・HIMEHINAは9月27日、東京六本木のEX THEATER ROPPONGIにて、初のワンマンライブとなる『心を叫べ』を開催した。2人はアンコールも含めて約2時間半、『ララ』『琥珀の身体』の完全新曲2曲を含む27曲を熱唱。チケットが販売開始から1分でソールドアウトするほど待ち望まれていたライブなだけあって、集まった約1,700人以上のファンも終始熱狂していた。
さらにラスト2020年春に全曲オリジナルの1stアルバムをリリースすることも発表した。勢いづく彼女達の今が凝縮されたライブをレポートしていこう。
●ミリオン再生を7本持つVTuber界の「歌姫」
バーチャルYouTuber(VTuber)といえば、2017年末頃に突如インターネットで巻き上がったムーブメントだ。動画や生放送、Twitterなどでファンと直接やり取りすることで、ファンと同じ時間を生きているキャラクターという感覚を実現して、多くの視聴者を魅了してきた。今やタレントと並び、テレビ番組やリアルイベントなどに出演するのも当たり前になってきている。
この脚光を集める激戦区において、HIMEHINAを一言で表すなら「歌姫」だろう。実は数あるVTuberの動画において、最も再生数を伸ばしているのが彼女達が2018年8月にYouTubeに投稿した『劣等上等』で、今や1000万再生の大台を超えた。また、カバー曲も含め7曲が100万再生を超えるなど、彼女達の歌声は多くの人々を惹きつけてやまない。
・カバー曲
『劣等上等』 1,023万再生
『太陽系デスコ』 357万再生
『ロキ』 295万再生
『ようこそジャパリパークへ』 173万再生
『ECHO』 105万再生
・オリジナル曲
『ヒトガタ』 741万再生
『ヒバリ』 272万再生
*いずれも執筆時点での再生数
そうした実力派の側面とは裏腹に、普段投稿している動画は、「ゲラ」と評される笑い声で超元気一杯の田中ヒメと、おっとりした鈴木ヒナが織りなすドタバタな内容で、そのギャップも視聴者の心を掴む要素となっている。
もちろんネット以外でも度々スポットライトを浴びてきた。先の『ヒトガタ』は、自身も出演したTVアニメ『バーチャルさんはみている』のエンディング曲として抜擢。イベントにも引っ張りだこで、ニコニコ超会議やニコニコ超パーティー、DIVE XR FESTIVAL、海外ではBiliBili Macro Linkなどの大舞台を沸かせてきた。
田中ヒメが2018年3月、鈴木ヒナが同年5月から活動を始めて約1年半。常に右肩上がりで駆け抜けてきて、ようやく実現したワンマンライブなだけあり、2人にとっても『ジョジ民』(彼女達のファン名称)にとっても感動もひとしおだっただろう。
●冒頭から「心を叫べ」でテンションMAXに
ライブはスタート前から超豪華メンバーだった。冒頭、『天の声』として、VTuberファンにはおなじみの4人が出演すると、会場から驚きの声が上がって一気にテンションが上がる。さらに、以下のトップVTuber21組からのメッセージが流れ、動画が切りかわるたびに歓声が上がっていた。
富士葵、猫宮ひなた、シスタークレア、YuNi、おめがシスターズ、白上フブキ、兎鞠まり、ばあちゃる、える、甲賀流忍者ぽんぽこ・ピーナッツくん、もこ田めめめ、月ノ美兎、夜桜たま、樋口楓、燦鳥ノム、バーチャルゴリラ、ピンキーポップヘップバーン、ときのそら、電脳少女シロ、ミライアカリ(出演順、敬称略)
そんなお祝いムードを破ったのが、今回の公演名でもあるイントロダクションの『心を叫べ』だった。
スクリーンにハートが映し出され、心音とともに「生きる……」「私は存在する」「存在ってなんだろうか」と問いかける2人のシリアスな声が響き渡ると、客席の笑顔が引いて一気にステージに引き込まれいく。さらに「存在とは肉体じゃない、繋がることが存在なんだ。誰かの胸の内に居る事が「存在」なんだよ。その胸の内の居場所を人間は『心』と呼んだんだ。『心』を叫べ……。『心』を叫べ! 『心』という名の魂が、この身体を動かすモノがあるんだ!」という絶叫が心を打つ。
「聞かせておくれよみんなの叫び」
「魂の雄叫び」
「魂のカウントダウンを始めるぞ!」
バーチャルのキャラクターが問う、存在の意義。熱い想いに全員の心が一つになり、カウントダウンが始まる。
「始める前にちょっとだけパワーをください」
「お願い名前を呼んで」
二人の呼びかけに客席から「ヒメー!」「ヒナー!」という絶叫が湧き上がる。そして流れた出したのが代表曲の『ヒトガタ』のイントロで、最初からクライマックスのような盛り上がりを見せていた。ステージのスクリーンいっぱいに映し出される巨人の姿で現れて踊りまくり、終盤、幕が開いて本人達が等身大で現れるという演出も観客のド肝を抜いていた。
息つく間もなく怒涛のボーカロイド曲メドレーに移り、『ワールズエンド・ダンスホール』や『ギガンティックO.T.N』、『ブリキノダンス』、『ロストワンの号哭』など、アップテンポな名曲を早口で見事に歌い上げる。スクリーンに映し出されるモーションタイポ、空間に華を添える照明などにも煽られて、観客もペンライトを振る手に力を入れていた。ボカロパートのラストを飾る『ロキ』では、「薄っぺらいラブソングでも」「Don't Stop! Don't Stop!」などの掛け合いを交えてさらに一体感を高めていく。続くMCでも、鈴木ヒナが「昨日眠れなかった人ー!」「遠くから来た人ー!」などと呼びかけて、客席とのコール&レスポンスを楽しんでいた。
中盤は『田中音楽堂』と題されたアコースティックパートだ。MCのあとにステージに立ったのは、田中ヒメとギタリストの2人で、蝶々Pの『心做し』、山口百恵の『さよならの向う側』、奥華子の『ガーネット』といった名曲を歌い上げた。客席は伸びやかな美声と空気を震わせるギターの音色に魅せられて、ピンク色のペンライトを振り、涙腺を緩ませながら聴き入る。最後のスピッツの『チェリー』では、スクリーンに映し出される歌詞を見ながらサビを全員で大合唱し、全員で心をひとつに合わせる暖かさを実感していた。
この流れで合唱パートになだれ込む。『太陽系デスコ』では、「オー・オ・オー!」、『創世のアクエリオン』では「一万年と二千年前から愛してる!」「俺もー!」と観客側が絶叫。さらにMCコーナーでは、『ヒバリ』の替え歌をお客さんと一緒に作る『第一回 ヒバリ クソ歌詞グランプリ』を開催。HIMEHINA、再出演した天の声4人、お客さん2人で歌詞を穴埋めした素晴らしい『クソ歌詞』を全員で合唱して盛り上がった。一方的にステージを見るだけでない、観客達も参加して楽しめる空間を提供してくれたのも本ライブの魅力だ。
大いに笑顔にしてくれたと思ったら、ペンライトをオフにしてのじっくり聴かせるパートにガラッと変わる。歌い上げたのは、『アンノウン・マザーグース』と『命に嫌われている』というボカロカバー2曲と、過去に生放送で披露した『ライライラビットテイル』、完全新曲の『琥珀の身体』だ。生と死、心、魂などの重いテーマの歌詞を力強く歌い上げ、表現者としての強さを見せつけて、すすり泣きが起こるほど会場を感動させていた。
終盤はオリジナル曲のラッシュだった。完全新曲『ララ』では、事前に練習して観客と「ラララララ……」と一緒に歌い上げる。『ヒバリ』では、冒頭でピンクとブルーのテープが客席に向けて放たれて大歓声が上がった。本編最後となったのは『ヒトガタRock』で、自然とステージに映し出された歌詞を見ながらの大合唱となっていた。
終了後に湧き上がったアンコールに押されて流れ始めたのが、彼女達をアーティストとして表舞台に押し上げた『劣等上等』で、客席からは「待ってました」の大歓声が上がる。歌だけでなく、間奏で見せた田中ヒメの生「ゲラ」とコマネチも含めて、激しいダンスパフォーマンスでも観客を魅了していた。
巨大スクリーンの背景に客席を写して「はおー!」の掛け声で2人と記念撮影したのち、ライブへの想いを涙声で語り始める。
「今日のみんなの色々な姿をみたら頭が真っ白になっちゃった。それぐらいこのライブをしている間にいろいろ感じた。ライブの練習をしているときにどうしても上手く歌えなかったり、どうしても踊れなくて全然ダメなときに、ヒメが近づいてきてくれて『大丈夫だよ』と抱きしめてくれて、ヒナはそれが嬉しかった。今日もどこ見てもみんなにっこりしていて、今日まで頑張ってきてよかった。とても嬉しい」(鈴木ヒナ)
「ヒメがチャンネルを一人始めてからすごく月日が経って、数字にするとまだまだ短い期間なんだけど、その間にヒナが来てくれたり、たくさん色々なイベントにも出たね。こんなに『ジョジ民』がヒメの前に集まってくれていることがすごい幸せ。一人一人がすごいパワーで応援してくれているのが開幕から飛んできて、ここまでやってきてよかったなと思った。ここでライブできているのは、ヒナが支えてくれて、『ジョジ民』がいて頑張れたから。ファーストワンマンライブで最高の景色が見れて、絶対に忘れない。もっともっと続けてレベルアップして、みんなに景色を見せてあげられるようにもっと頑張るからね」(田中ヒメ)
彼女達の『心の叫び』を耳にして、その場にいた誰もが目に涙を浮かべていた。そんなしんみりした空気を『はおー!』の掛け声で吹き飛ばし、ラストは9月20日に投稿したばかりの『うたかたよいかないで』。「最後まで叫べるか?」「心を叫べるかー!」の煽りに客席も応えて、大声で心を叫び全力でペンライトを振っていた。
「またここで会おうね」「本日は最高のうたかたの時間をありがとうございました!」との挨拶の後に、全員で「せーの!」でジャンプを決める。鳴り止まぬ「ヒメ、ヒナ!」コールの中、「来年もどんどんやっていきたいと思います」「だからみんなついてきてね」「それでは、ごきげんようー!」と大声で言葉を交わして、2時間半の饗宴の幕を閉じていた。
●『心を叫べ』セットリスト
M1 Introduction:心を叫べ
M2 ヒトガタ
M3 拝啓ドッペルゲンガー
M4 ワールズエンド・ダンスホール
M5 おこちゃま戦争
M6 ギガンティックO.T.N
M7 +♂
M8 ブリキノダンス
M9 ロストワンの号哭
M10 ナンセンス文学
M11 ドラマツルギー
M12 ロキ
M13 心做し(田中音楽堂)
M14 さよならの向う側(田中音楽堂)
M15 ガーネット(田中音楽堂)
M16 チェリー(田中音楽堂)
M17 太陽系デスコ
M18 創聖のアクエリオン
M19 アンノウン・マザーグース
M20 命に嫌われている(Ballad Ver.)
M21 ライライラビットテイル(Ballad Ver.)
M22 琥珀の身体
M23 ララ
M24 ヒバリ
M25 ヒトガタRock
*アンコール
M26 劣等上等
M27 うたかたよいかないで
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